説話社 コミック市場に参入 ホラーコミックレーベル「パウラ」創設

2022年9月26日

「パウラ」第1巻(左)、第2巻(右)

 

 占いに関連する書籍・雑誌を発行する説話社は、ホラーコミックアンソロジーの新レーベル「パウラ」を創設し、第1巻の刊行(8月23日取次搬入、初版8000部)を皮切りに、コミック市場に参入した。さらに10月下旬には第2巻の刊行も予定している。

 

 同社は、デジタルコンテンツを制作するリンクスジャパンと提携し、「パウラ」シリーズの電子書籍も同時刊行。紙の書籍を説話社が、電子書籍の制作・配信をリンクスジャパンが担う。また同レーベルには御茶漬海苔氏、日野日出志氏など、著名なホラー漫画家による過去の作品を多数収録しており、その権利許諾や作家のマネジメントなどもリンクスジャパンが請け負う。

 

 説話社・取締役の高木利幸CEOは、同レーベルの設立の経緯について「名作を世に送りだした漫画家、特にホラー漫画家は連載する媒体や表現をする場がないのが実情。紙の本として刊行することで、新たな活躍の場を提供したかった」としたうえで、「コミックをはじめ電子化が進む一方、今後、出版物へのコンプライアンスも厳しくなる。“多様な表現”を担保するためには、現物として残る紙の書籍を、作家らの表現の場を守ることが重要」と見解を示す。

 

 続けて高木CEOは「当社が専門とする占い本の層は、40代以上の女性が圧倒的に多く、ホラーコミックの読者層と近い。すでに定着している読者からの需要も高い」と新しい市場に参入した意図を話す。

 

取締役の高木CEO(左)と販売事業部の細田チーフ(右)

 

高単価の書籍として流通

 

 雑誌コードを持つ説話社だが、今回第1巻を刊行するにあたり、256ページ・本体1800円に設定し、あえて「書籍扱い」として流通。その意図について、高木CEOは「紙・インク代の高騰もさることながら、当社は細く長く売るのが得意な出版社として、約30年間で8割以上の自社発行本を重版してきた実績がある。高単価で長く売れる作品を提供することで、書店、作家に還元していく」と語る。さらに同社・販売事業部の細田英俊チーフは「『パウラ』はまだ始まったばかりだが、来年春には第3巻も刊行する予定。巻を重ねていくことで、徐々に認知を広げ、書店店頭での展開につなげていく」と力を込める。

 

 なお同社は同じく40代以上をターゲットにすえたレディースコミックの新レーベル「カーラ」を立ち上げ、10月5日取次搬入で第1巻を刊行する予定だ。