小学館、新企画説明会を開催 創立100周年で世界文学全集やドラえもん

2022年5月27日

 小学館は5月18日、東京・千代田区の同本社会場とオンラインを併用した新企画説明会を開いた。今年創立100周年を記念した企画では、電子デバイスでよむ児童向け世界文学全集を筆頭に、学習漫画の全面リニューアル、同社看板コンテンツ「ドラえもん」の完全受注生産など多彩なジャンルの企画が揃った。ほかにも夏にかけて注力する単行本についても編集者らがプレゼンした。

 

会場にはブースを設けて新企画を説明した

 

 冒頭、相賀昌宏社長は、「(小学館は)大正11年の創業以来100年目。一つの節目、通過点。多くの支えによるものと感謝している。これからも皆様への感謝の気持ちを忘れずに、奢ることなく真摯に、そして失敗があってもそこから学んで進んでいきたい。引き続きのご支援をよろしくお願いしたい」と挨拶。また、新企画については「編集者や登壇される先生方の言葉から、自分の心に響くものを読者に伝えていただきたい」と話した。

 

あいさつする相賀社長

 

 100周年企画は4つ。11月に刊行する児童向けの世界文学全集小学館世界J文学館は、紙版は「名作図鑑」として見開きオールカラーで1作品を紹介し、本文は頁掲載のQRコードを読み込んで電子デバイスで閲覧する、これまでの文学全集にはなかった刊行形態にした。

 

 かつての文学全集の特徴であった「かさばる、重い、とっつきにくい」を解消するために「かさばらない、軽い、手に取りやすい」形態にした。読者の年齢に合わせて3段階で振り仮名を変えられたり、音声読み上げ機能もつける。

 

 古典から21世紀内に刊行された125作品を収録する。ほとんどが新訳となる。第二児童学習局の塚原伸郎氏は「文学史的な立場ではなく、今の子どもたちが楽しんで読める作品かどうかを基準にした」と説明。ジャンルも幅広くとらえ、レイ・ブラッドベリのファンタジー小説「何かが道をやってくる」を約60年ぶりに編集委員で翻訳家の金原瑞人氏が新訳する。11月22日発売予定。価格本体5000円。

 

 大手出版社が力をいれる学習漫画では「小学館版 学習まんが日本の歴史」を全面的にリニューアルする。歴史教科書で定評のある山川出版社が編集協力する。歴史の授業では政治、外交、社会、文化が同時並行的に扱われることが多く大きな流れがつかみづらいが、このリニューアルでは政治史を中心に据え、時々の施政者、リーダーを主軸にし、歴史の流れが途切れなく理解できるようにした。図解も多用し社会の仕組みの理解を助けるようにした。ソフトカバーA5判。11月24日頃発売予定。定価各968円、全20巻セット定価1万9360円。

 

 これまでにも多くの記念企画を出してきた「ドラえもん」は、読者からの要望をうけて、毎春に映画公開される「映画ドラえもん」原作の「100年大長編ドラえもん」を全17巻で刊行する。20年の「100年ドラえもん」装幀を手がけたブックデザイナー名久井直子氏が担当する。5月31日までの予約受付の完全受注生産となる。新書版上製。セット売り商品で本体4万3636円。

 

 「日本鉄道大地図館」は日本の鉄道事業が始まってから150周年に合わせての企画。明治5年から令和4年を5つの時代にわけ鉄道地図を時系列で掲載。どのように鉄道は広がり、人々の生活のなかで利用されたかを読み解く。地図地形に関する多くの著書がある地図研究家、今野恵介氏が監修を務める。A3判上製、414ページ。9月29日発売予定。定価3万9800円。同梱の読者特典は「吉田初三郎の傑作鳥瞰図風呂敷」と、乗務員が日々の業務で使っていた「復刻版 運転事務用鉄道線路図」。

 

 その他新企画と概要は下記の通り。

 

寛仁親王殿下「The Diary of the Bearded Prince ひげの殿下日記」。寛仁親王殿下がなくなって10年。自ら主宰した会報誌掲載のエッセイ30年分を収録。監修は彬子親王殿下。6月1日発売。四六判上製、608ページ。定価4400円。

 

町田そのこ「宙ごはん」。「52ヘルツのクジラたち」で21年本屋大賞を受賞した町田氏の最新作。本作は「小学館の今期の最大の勝負作」(担当の出版局文芸編集室・庄司樹氏)。事前に読んだ書店員から説明会日までに110通の感想があり「近年まれにみる反響」(同)。特設サイトも開設する。5月27日発売。四六判、368ページ。定価1760円。

 

夏木いつき「瓢箪から人生」。テレビ、ラジオ、雑誌、新聞など各種メディアで活躍する俳句集団「いつき組」組長がつづる、自らのの人生に強い影響を与えた人たちから得た人生の徒然エッセイ集。7月14日発売。四六判、224ページ。定価1980円。

 

桐島洋子「ペガサスの記憶」。「女性の自立」のパイオニアが綴る桐島家の自叙伝。桐島氏の娘でモデル、女優のかれん氏は「母はバッシングをされていた時代もあったが、そんな逆風にも全くひるむことなく真正面から正直に生きた女性。読んだ人は勇気を与えられると思う」。6月15日発売。四六判、224ページ。定価1980円。

 

「小学館の図鑑NEO 新版 岩石・鉱物・化石」。累計1300万部を突破した「図鑑NEO」20周年企画。ドラえもんらがナビゲートする70分超・5番組を収録したDVD付。6月22日発売。A4判変型、216ページ。価格2200円(税込)。

 

小学館 100周年企画で児童向け世界文学全集 本文は電子デバイス閲覧