SBクリエイティブ 新書レーベルをリニューアル 現役世代の読者に向けた本作り

2022年2月15日

 SBクリエイティブは今年の1月から、同社が刊行する新書レーベル「SB新書」をリニューアルした。新たなレーベルコンセプトは「40代を中心とした現役世代をターゲットとして、イノベーティブな知識を提供することによって、読者の人生に明確なベネフィットを与える新書」─。第1弾となる1月刊行書籍と、続く2月刊行書籍はいずれも好調な売れ行きで、3書籍が重版し、リニューアル後累計15万部を突破している。

 

リニューアルした新書を手にする小倉碧氏(左)と下村真葵氏

 

 

ビジネス書のノウハウ活用

 

 SB新書は、同社が2006年から刊行している新書レーベル。15年には、著者の拡充やカバーデザインを刷新し、今回のリニューアル前までに565点を刊行していた。

 

 同社に新書専門の編集部はなく、学芸書籍編集部が単行本や新書を制作している。同社が得意とするビジネス書の編集ノウハウを活かした『なんのために学ぶのか』(池上彰著)、『日本進化論』(落合陽一著)などの新書がこれまでにヒットしており、既存の読者層より若い30~50代の現役世代、さらに女性にも届けられていたことから、同社はここがSB新書の強みと分析。今回のリニューアルにあたって、思い切って「40代を中心とした現役世代」をターゲットとする方向へ舵を切った。

 

 さらに、企画段階から読者のメリットを強く意識した編集方針を掲げ、新書のフォーマットにとらわれず、単行本のように1からそれぞれの書籍の装丁を構築。本の第一印象を明確に、視覚的に理解しやすい作りを心がけている。内容も読者目線に立って、難しいテーマは噛み砕いてわかりやすく説明するなど、テーマの入り口に最適な一冊を目指しているという。

 

 また、今回のリニューアルでは、ロゴデザインも変更。新書の固定観念を覆すラインナップを目指し、「革命の旗」を表した。イメージカラーも「夜明けの空」を想起させるような、青紫から橙色への鮮やかなグラデーションとなっている。

 

「夜明けの空」を想起させるグラデーションの背表紙と裏表紙

 

 

チーム連携で新しい発想を

 

 同社では単行本と新書担当が同じ編集部内にいることで、相互に成功例や著者などの情報が共有できている。また、ここ数年でチームの若返りも進んだうえ、編集部だけでなく販売、宣伝担当との連携も強化。普段から相談やアドバイスなどが活発に行われる土壌があることで、常識に囚われない新しい発想が生まれているという。

 

 今回のプロジェクトで旗振り役となった同社学芸書籍編集部の小倉碧氏は、リニューアルに動き出したのは1年ほど前だったと振り返り、「レーベルコンセプトを言語化することに最も時間がかかったが、SB新書の強みはこれまでの実績からも社内で共有できていて、方向性ははっきりしていた。だから今回のリニューアルは、これまで長い時間をかけて作り上げたSB新書らしさを改めて明確にしたもの」と語る。

 

 

3本の柱で読者を広げる

 

 同社は、毎月3冊ずつ新書の刊行を予定し、それぞれ新たに打ち出した3つの柱に分類する。一つ目に、教養書が多い新書の中でも、よりわかりやすく、読者がそのテーマを学ぶ際の最初の一冊となるような「教養の入門の入門」。二つ目に、時代のトップランナーのような有名な著者を立てる書籍。そして三つ目に、制約に縛られず新しいチャレンジを行っていくための自由枠を用意して、SB新書らしいラインナップを広げていくという。

 

 3月の「著者枠」ではオードリー・タン氏の展望をまとめた新書を刊行予定。同社ではオードリー氏の書籍は初めてで、小倉氏は「単行本と新書どちらも選択肢として持っている中で、同氏に興味があるがまだ読んだことのない読者が気軽に手に取りやすくするため、今回は新書を選んだ」と話す。

 

 同社出版事業本部戦略企画部の下村真葵氏は、「今回はっきりと打ち出したブランドカラーを書店、そして読者に知ってもらえるようにアプローチしていくことで、新書レーベル内の売り上げとしてもより上位に食い込んでいきたい」と意気込む。

 

 同社は書店店頭用の拡材を用意し、売り場での認知度向上を図るほか、表紙が映えるため新書以外のコーナーでの展開も効果が出ており、SB新書を広く多くの読者に届けていくべく、これからもさまざまな展開を行なっていくと話している。【野中琢規】