「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」  21年度は筑摩書房『ルポ入管』/KADOKAWA『ロッキード疑獄』など

2021年11月22日

 第21回(2021年度)「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」の授賞作品が、11月16日に発表された。応募・推薦された164作品の中から、3部門で「大賞」に3作品、2部門で「奨励賞」に2作品が選ばれた。

 

 公共奉仕部門の大賞は、書籍『ルポ入管─絶望の外国人収容施設』(筑摩書房、受賞者・平野雄吾氏)。「司法審査のない無期限拘束を特徴とする日本の入管収容制度。在留資格のない外国人を拘束する入管施設では、暴行や隔離、医療放置が相次ぎ、毎年のように死者が出ている。入管の実態は、一見豊かに見える現代日本の深層を映し出す。この受賞を機に、本書が多くの市民に読まれ、この国のあり方がさらに議論されれば、とてもうれしい」と受賞者コメントを寄せた。

 

 

 草の根民主主義部門の大賞は、「ムクウェゲ女性にとって世界最悪の場所で闘う医師」(TBSドキュメンタリー映画祭上映作品、受賞者・立山芽以子氏)。

 

 

 文化貢献部門の大賞は書籍『ロッキード疑獄―角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』(KADOKAWA、受賞者・春名幹男氏)。「田中角栄元首相が『巨悪』とされたロッキード事件。しかし、真の巨悪の正体は、その後発覚した『ダグラス・グラマン事件』でも浮かび上がった。彼らは日米安保体制の根幹に絡む利権に群がっていた。角栄逮捕によって国民の不満はガス抜きされていた。取材協力者、選考委員の皆さんに深く感謝する」とコメントしている。

 

奨励賞に熊本日日新聞の「川と共に」

 

 また、公共奉仕部門の奨励賞は「2020熊本豪雨 川と共に」(熊本日日新聞〈朝夕刊、電子版〉、2020熊本豪雨取材班代表・亀井宏二氏)が選ばれた。「2020年7月4日、球磨川流域を中心に熊本県を襲った豪雨は、70人近くの命を奪った。熊本地震、新型コロナに続く三重苦の災禍。『もう災害で命を失ってほしくない』『この犠牲を無駄にしない』。取材班はそんな思いを胸に遺族や被災者に心を寄せて話を聞いた。涙をこらえ切れなかった時もある。その結晶が『川と共に』。受賞を励みに、被災地の復興を共に考え、災害から命を守る方策を探る報道を続ける」としている。

 

 そのほか、草の根民主主義部門の奨励賞は、ドキュメンタリー「永遠の平和をあるBC級戦犯の遺書」(RKB毎日放送〈テレビ版〉、RKBラジオ〈ラジオ版〉、YouTube、受賞者・大村由紀子氏)が選ばれた。