2021年度「石橋湛山賞」 2作同時受賞、宇野重規氏と西野智彦に

2021年10月27日

 石橋湛山記念財団は10月25日、2021年度第42回の「石橋湛山賞」の受賞作が宇野重規『民主主義とは何か』(講談社現代新書)と西野智彦『ドキュメント 日銀漂流―試練と苦悩の四半世紀』(岩波書店)に決まったと発表した。

 

 石橋湛山賞は、東洋経済新報社と経済倶楽部の後援のもと、石橋湛山記念財団によって1980年に創設された。政治経済・国際関係・社会・文化などの領域で、その年度に発表された論文・著書の中から、石橋湛山の自由主義・民主主義・国際平和主義の思想の継承・発展に、最も貢献したと考えられる著作に贈られる。全国の有識者から推薦された約40の著作・論文を審査し、今回は異例の2作同時授賞となった。授賞式は11月29日に東洋経済ビルで行われる。

 

 

 2020年10月刊の『民主主義とは何か』は、ポピュリズムの台頭や独裁的指導者の相次ぐ登場など、危機に瀕した民主主義を、古代ギリシャ以来の歴史的時間軸の中でとりあげ、「民主主義を巡る諸問題」とその解決の方向性をわかりやすく説明した書として評価された。また、同書ではルソー、トクヴィル、ミル、バジョット、ウェーバーなどの「民主主義」論が考察されているが、石橋湛山の「自由主義・民主主義」の思想形成に寄与した論者が多いことも受賞の一因となった。

 

 

 一方、『ドキュメント 日銀漂流―試練と苦悩の四半世紀』は、1997年の日銀法改正以来、松下・速水・福井・白川・黒田の5人の総裁のもとで激動する経済情勢に日銀はどう対応してきたか、綿密な取材と関係者の記録や証言を集めて、その政策形成過程を明らかにした1冊として、2020年11月に刊行された。

 

 岸田内閣のもとで「新しい資本主義」が提唱される中、アベノミクスと「異次元金融緩和」の批判的検証は切迫した課題であり、客観的で公平な筆致で日銀の四半世紀を描いた同書への授賞は時宜を得たものとして決定した。