KADOKAWA 学習図鑑シリーズ『角川の集める図鑑GET!』を創刊、従来と異なる構成など満載

2021年6月4日

『角川の集める図鑑GET!』

 

 図鑑市場の山場を迎える夏休みを前に、KADOKAWAは学習図鑑シリーズ『角川の集める図鑑GET!』を創刊した。5月28日、シリーズ創刊第1弾として『恐竜』『動物』『昆虫』の3冊を同時に刊行。従来からある図鑑とは異なる「生息地域別」での構成、自社の人気学習まんがとの連携、紙と同時展開のオンライン図鑑「GET!+(プラス)」など、他の図鑑との違いを鮮明にしながら、子どもたちが能動的に知識を「GET」できるような工夫を満載している。

 

 『図鑑G E T!』のコンセプトは、子どもたちの「考える力を育む“新しい”図鑑」。図鑑から知識を受動的に得るだけでなく、より能動的に知識をひろげたくなるよう、各図鑑には「世界に旅立ち」「ナゾを解き」「集める」という3つの要素をちりばめている。

 

「生息地域別」で世界を学ぶ

 

 同社によると、従来の図鑑に見られる日本をメインにした分類別の構成ではなく、『図鑑GET!』は「世界」を舞台に、「生息年代別」や「生息地域・環境別」に構成している。

 

 小荒井孝典編集長は「(先行する)他社とは全く異なる、新たな情報を読者に届けるために、はっきり変えることを考えて作っている。例えば、生息地域別にすることで、ある生き物とある生き物が関係し合って生きていることが分かる。そういった『つながり』の表現を重視している」と明かす。

 


 

「学習まんが」や「オンライン」とも連動 

「生息地域別」に分類されている(『動物』)

 

 KADOKAWAが5月28日に創刊した学習図鑑シリーズ『角川の集める図鑑GET!』――。同時刊行した3巻の各巻監修者は、『恐竜』が小林快次氏(北海道大学総合博物館教授)、千葉謙太郎氏(岡山理科大学生物地球学部生物地球学科講師)、『動物』の総監修が小菅正夫氏(札幌市環境局参与円山動物園担当、北海道大学客員教授)、『昆虫』の総監修が丸山宗利氏(九州大学総合研究博物館准教授)。

 

『恐竜』『動物』『昆虫』を刊行

 

 『恐竜』は、時代別&生息地域別に分類され、「いつ、どこにいたのかを徹底調査」した。同時期にいた恐竜を1枚のイラストで再現するなど、見せ方にもこだわる。今年4月27日に新種発表された「ヤマトサウルス・イザナギイ」の最新情報も、いち早く掲載している。

 

 『動物』は生息地域別で、森の中や寒い地域といった「生息環境」がイメージしやすいように、動物の写真は背景付きが多い。また、監修者の小管氏の意向もあり、亜種、進化、絶滅の情報をていねいに表記した。「人類がどう環境を破壊し、それによって動物がなぜ絶滅してしまったのか。図鑑を読んで自分たちができることは何かを考えてもらう」のも狙いのひとつだ。

 

 『昆虫』は、生息地域別にすることで「他社とは掲載種がまったく異なり、日本の学習図鑑には載っていない昆虫ばかり」が載っている。大きいもの、色鮮やかなもの、世界に100万種以上いる昆虫多様性が伝わる内容。掲載する昆虫の写真のアングルやサイズにもこだわっている。

 

「どっちが強い!?」シリーズと連携

 

 また、各巻とも累計220万部を超える人気学習まんが「どっちが強い!?」シリーズと連携。キャラクターが図鑑のところどころに登場したり、ストーリーとともにミッションをクリアしていく「ナゾ解き」も満載。「図鑑はどうしても情報や知識の羅列になりがち。カタログ的な紙面構成ではなく、キャラクターによって子どもたちが興味を持って読める図鑑にしたい」と考えている。

 

「GET!+」で集めて楽しむ

「GET!+(プラス)」のトップページ

 

 さらに、紙の図鑑によくあるDVD付録に代わって展開するのが、無料のオンライン図鑑「GET!+(プラス)」だ。紙面などに設置したARマーカーを読み込めば、カードが追加され、「MY図鑑」をどんどん進化できる。受け身のDVDなどと違って、「ゲーム要素を盛り込むことで、子どもたち自身が主体的に考え、発見することを促す」という。今後、「書店にいけば新しいライオンが手に入ったりするなど、リアルな場所との連携も考えられる」と、新たな展開も視野に入れる。

 

 今回の図鑑シリーズ制作にあたり、小荒井編集長は「私たちは子どもたちに〝もの知り博士〟になってもらいたいわけではない。単なる知識の羅列のようなカタログ的な図鑑は作らない」と、スタッフらと心がけているという。「1つのことを知ったら、次を知りたくなる。図鑑を読み終えたら、もっと知りたくて自分で考える。そんな子どもになってほしい」との思いを込める。

 

 『図鑑GET!』は早くて2~3歳児から、そして成長した中・高校生にも正しい知識の発見があるような作りを意識している。新学習指導要領に盛り込まれているような「探究学習」にも向いている。

 

紙の図鑑には記憶定着の効果も

 

 紙の図鑑には一覧性や、ページをめくる楽しみといった魅力もある。小荒井編集長は「目と脳を使う以外にも、(本の)重さや手触りなど触覚の部分も一緒に動かすことで、記憶も定着しやすくなる」と、そのメリットを語る。

 

 また、「紙の本や図鑑の良いのは、置いておくだけで、いつでも手に取ることできること。例えば、子どものために買っても、その時は読まなかったりする。でも、1年後には読んでいたりする。これはデジタルでは見られない光景かもしれない」と紙、デジタルともに目的によって使い分けることが重要だと考えている。

 

 今後の『GET!』シリーズは、21年冬に『危険生物』を、22年春に『人体』を、22 年夏に『星・星座』と『魚』の2冊をそれぞれ刊行する予定だ。

 

 □A4変形判/『恐竜』224㌻、『動物』256㌻、『昆虫』272㌻/対象読者3歳から(総ルビ)/定価2200円(税込)/公式サイト(https://zukanget.com)