第45回川端康成文学賞 千葉雅也「マジックミラー」に決まる

2021年4月15日

千葉雅也氏 (C)新潮社写真部

 川端康成記念会は4月12日に選考会を開き、第45回川端康成文学賞の受賞作品を千葉雅也「マジックミラー」に決定した。贈呈式は6月25日に三島由紀夫賞・山本周五郎賞と合わせて、東京・港区のオークラ東京で開催予定。受賞者の千葉氏には記念品と副賞100万円を贈呈する。

 

 同賞は日本人初のノーベル文学賞受賞者である小説家・川端康成氏の没後、その賞金を基金にして設立した文学賞。主催は川端康成記念会、後援は新潮社。前年度に発表された短編小説のなかで、最も完成度の高い作品に賞を贈っている。

 

 過去の受賞者にはノーベル文学賞作家・大江健三郎氏や古井由吉氏、安岡章太郎氏、筒井康隆氏から山田詠美氏、江國香織氏、町田康氏など、日本を代表する作家が選ばれてきたが、運営資金の削減などを理由に19年に一時休止。しかし、川端康成氏の没後50年を来年に控えた今春、選考を再開した。

 

 今回の選考委員は荒川洋治、角田光代、辻原登、堀江敏幸、村田喜代子の各氏が務めた。

 

【受賞者略歴】

千葉雅也(ちば・まさや)

 1978年、栃木県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コース博士課程修了。博士(学術)。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。2019年『デッドライン』で野間文芸新人賞受賞。他の著書に『動きすぎてはいけない』『勉強の哲学』『意味がない無意味』『アメリカ紀行』などがある。