澪標 『大阪狛犬物語』を増刷、図書館などからの受注が伸びる

2021年3月29日

『大阪狛犬物語』四六判/312㌻/本体2000円

 

 澪標(大阪市・松村信人社長)は3月1日、大阪各地に祀られる「狛犬」についての実地調査をもとにまとめた『大阪狛犬物語』(塩見一仁)を発刊、図書館などの受注が伸び、発刊から1カ月を待たずに増刷を決めた。

 

 高校の教師でもある著者は2014年、同社から『狛犬誕生!―神獣のルーツをたどる―』を発刊。古代オリエント、中国からの歴史を追った狛犬のルーツ探訪や、「枕草子」「徒然草」など日本の古典・文献考証によって日本の狛犬研究に新しい視点を開拓した。

 

 本書では大阪に照準を定め、大阪最古の「参道狛犬」のある住吉大社(大阪市住吉区)、「足止め狛犬」の杭全神社(平野区)、大阪城公園(中央区)の中国獅子などを巡り、時代背景や文化、そこに生きる人々とのかかわりを考察。

 

 写真を中心とした観光ガイドではなく、大阪ことばや寺社仏閣のルーツや神事、また、伝統行事など時代や文化的背景にまで迫った。幻と言われた狛犬の残骸発見や、代替わりで廃棄された先代狛犬を探し求める姿など、狛犬ファンにとって興味深い。

 

 松村社長は「歴史散歩などが好きなアウトドア派や、寺社仏閣などの参拝好きな年配者におすすめしたい。全国には狛犬ファンも多く、サークル活動やネットを通した情報交流サイトもある。そうしたところへのアプローチとして著者のミニ講演、サイン会なども検討したい」としている。      

【櫻井俊宏】