【日記・手帳特集】高橋書店 「クレール」のオリジナル什器新設、若い世代への浸透さらに進める

2020年10月7日

今シーズンも新戦略で実売増をと話す嘉夛取締役(右)と栗田課長

 

 2021年に向けて始まった日記・手帳商戦。高橋書店は今年、幅広い世代に長く人気のあるシリーズ「クレール」の展開に力を入れる。「クレール」のオリジナル什器を、新たに店頭に投入。昨年からラインアップに加えた「ミアクレール」も、ユーザーの使用シーンに合わせて3サイズを用意した。3年目となるシリーズ「torinco(トリンコ)」とともに、実売増を目指す。また、今シーズンのイメージキャラクターには、2年連続で俳優の吉沢亮さんを起用。幅広い世代に「手帳の高橋」をさらに浸透させていく。

 

2021年版日記・手帳商戦スタート

 

 高橋書店の日記・手帳市場は、2019年版に若い女性向け手帳の新シリーズ「トリンコ」を投入したことで、前年対比がプラスの伸びに。そして、昨年の2020年版も同様に伸びを見せたという。

 

 嘉夛祐哉取締役上席執行役員販売部本部長は、「2年目だったトリンコは、シリーズのアイテム数も増やすとともに扱い店舗数も増加。オリジナル什器の改良などもプラスに働き、前年より1・5倍伸びた」と要因を語る。トリンコで狙った若い世代へのアプローチが奏功し、新規顧客の獲得につながっている形だ。

 

 また、全国の各書店の精力的な取り組みも、伸長には欠かせない。「私たちが提案するさまざまな売り場改善に、賛同していただく書店も増えている。前年から何かしら変化を持たせてくれる書店も多く、そういった取り組みで平均よりもよく伸ばしてもらっている印象だ」と感謝する。

 

トリンコで若い世代へのアプローチが奏功し、新規顧客を獲得

トリンコには使い方を提案するリーフレットの投げ込みも

 

人気シリーズ「クレール」に注力

2021 年版で新たに投入する「クレール」のオリジナル什器

 

 そして、2021年版の商戦が始まっている。3年目となる「トリンコ」シリーズもさらなる浸透、実売アップが期待されるが、2021年版で最も力を入れるのは人気シリーズ「クレール」の拡販だ。

 

 「クレール」は2012年版から登場したシリーズ。当初からチェック柄が特徴的で、現在ではカラー、サイズのバリエーションも増え3タイプ35点が出ている。実際、「毎年15%ほど伸びており、全体の実売シェアも13%になる伸び盛りのシリーズ」(嘉夛取締役)。この商品を改めてブランド設計し、さらなる売り伸ばしを狙う。

 

 具体的には、オリジナルの什器を新たに作り、各書店の手帳売り場で「クレール」の存在感を際立たせる。什器にはもちろん、今年の新商品を含めてシリーズ全点が入る。平積みメインで展開できるよう形状にも工夫をこらしている。

 

 同社では「トリンコ」シリーズを展開するためのオリジナル什器も用意しているが、これが同シリーズの実売アップをけん引。その成功体験も大きいという。

 

 嘉夛取締役は「書店様のご協力により毎年伸びているが、商品点数の増加に伴い、売り場も満杯になってきている」と、オリジナル什器の投入で新たな売り場を創出していきたい考え。「クレール」「トリンコ」ともにオリジナル什器があることで、各書店の特性に合わせた展開、売り方も可能になる。

 

多様化する使い方にも対応

 

 「クレール」シリーズでは、2020年版に出した「ミアクレール」(B6判、全4色)が好調。その年の流行りも取り入れたカラーリングが特長で、若い世代を中心に人気がある。今年の新商品で、その大きいサイズ「ミアクレール グラン」(A5判、同)と小さいサイズ「ミアクレール コケット」(A6判、同)を用意した。

 

ミアクレール

ミアクレールグラン

 

 栗田さやか日記事業部編集部課長兼第2課リーダーは、「若い人は流行りのかわいい色などにも敏感。小さめのカバンに入るサイズも人気がある」と、市場を分析したうえで投入する新商品を紹介する。「選ぶ段階から楽しんでもらえる商品。新しいオリジナル什器と新刊でぜひ拡販を」と呼びかける。

 

 そのほか、「トリンコ」シリーズにも2種類の新商品を追加。「torinco8」(B6判、同)は週間ブロック式で、フレキシブルな記入スペースが特長。「torinco9」(同、同)は週間セパレート式で、日記・予定どちらも書きたい人におすすめだ。

 

 また、ビジネス仕様の「デスクダイアリー スティット」(A5判、6種類)も新たな商品。皮革調の上質な表紙カバーで、インデックス付きの機能性も備える。大きなサイズで予定などが記入しやすいのが特長。

 

 いろいろなサイズや記入形式の手帳が増えているのは、手帳ユーザーの多様で新しい使い方に応えるためだ。若い世代を中心に、手帳がスケジュール管理するだけのものではなくなっているようだ。

 

 栗田課長も「手帳の使われ方が変わってきているのは実感している」と話す。例えば、「最近は2冊使いの人も増えている。小さめの手帳でスケジュール管理し、大きめサイズで日記のような使い方をする」という。「クレール」も「トリンコ」も、それらを意識した商品展開をしている。

 

 また、同社では商品を市場に投入するだけでなく、合わせてそのユニークな使い方なども紹介、提案する。

 

 実際、手帳にカラフルなイラストを描いたり、写真を貼ったり、映画のチケットを貼ったり、日々の予定だけでなくライフログ的な使い方をする人もいる。その個性的な手帳は、インスタグラムなどSNSに投稿されシェアされる。「手帳はプライベートなものでありながら、自己表現のツールにもなっている」という。

 

 栗田課長は「まず手帳を選ぶことから楽しんでもらえるような仕掛け、そしてデジタルツールでは表現できないような使い方もあることを提案したい」と考える。そのうえで、書きやすさなど商品の質の向上にもこだわる。「トリンコ」と同様、「クレール」もエンドユーザー向けの特設サイトを作り、手帳の新たな魅力を発信していくことにしている。

 

イメージキャラクターは今年も吉沢亮さん

若い層を中心に「手帳は高橋」をPR

 イメージキャラクターには、今年も俳優の吉沢亮さんを起用した。テレビ、デジタル、店頭などで、若い層を中心に「手帳は高橋」をPRしていく。

 

 若い世代だけでなく、長年のユーザーである中高年層向けの手帳も、改良を加えながら商品の魅力を上げている。「お客様からのアンケートはがきは全部員が共有し、改善案を検討している」(栗田課長)。

 

 嘉夛取締役はこれまでの実績などから、コロナ禍でも手帳市場は堅調に推移するのではとの見通しを示す。そのうえで、「手帳は本当にリアル書店に向いている商材」と今年も書店の力に期待。「売り場改善をしているところは着実に伸びている。ぜひ当社の営業担当にご相談を」と呼びかけている。

 

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