【トップインタビュー】占い師・ ゲッターズ飯田さん「本屋はアイデアの宝庫」

2020年6月17日

占い師・作家・タレントのゲッターズ飯田さん ©伊井龍生

 

 「芸能界最強の占い師」と言われ、作家やタレントとしても活躍するゲッターズ飯田さん。上梓する「五星三心占い」本はどれも100万部を超える大ヒット。今年9月に出版する予定の最新版は、200万部を目指すという。「本は努力して売るもの」と、全国をめぐるトークライブツアーを組み、各地の書店も精力的に回っている。「本屋はアイデアの宝庫」であり、なくてはならない大切な場所という思いが強い。そんなゲッターズ飯田さんに、お話をうかがった。

 

(聞き手・山口健)

 


 

人の魅力は運が左右するオリジナル占術「五星三心占い」

 

占いについて説明する飯田さん ©伊井龍生

 

 ――飯田さんは、これまで20数年間で6万人を超える人を無償で占っていらっしゃるそうですね。

 

 占いというのは統計ですから、できるだけたくさんデータを集めるほうがいいんです。しかし、占うのに5000円かかるとしたら、払わない人が多いでしょう。でも、無償で占うと言えば、喜ばれますし、データもたくさん集まります。もし、当たっていなくても、「高いお金を払っているのに」と言われることもない(笑)。

 

 相手の反応を見ながら、「これは違うのかぁ」とか「言い方が悪かったかな」と考え、次に同じタイプの人に会ったら少し言い方を変えてみようとか、いろいろ試せますしね。本を書くための取材を、取材料を払わずにしている感じでしょうか。

 

 ――その集めたデータからオリジナルの占術を編み出されたということですか。

 

 はい。20数年間で6万人以上を占ってきた実績から、中国の占術や西洋占星術、姓名判断、手相や人相学、生年月日、心理学など複数の的中要素を自分で組み合わせてデータにしたのが「五星三心(ごせいさんしん)占い」です。

 

 「五星三心占い」は、5つの星と3つの心のリズムを知ることで、運命や運気の流れを知る占いです。「五星」は古くからある五行の「木、火、土、金、水」、「三心」は「天、海、地」を表し、「五星三心占い」では、「三心」の3つを陰陽に分けた段階でわかりやすく「羅針盤座、インディアン座、鳳凰座、時計座、カメレオン座、イルカ座」の6つのタイプに分類しています。

 

 それをさらに、生まれた年の西暦年が偶数であれば「金」、奇数であれば「銀」の2つに分けると全部で12タイプになります。どんなタイプでも、運気の良い年、月、日に決断をするのが開運のコツです。

 

 逆に、運気の悪い時期を私は「裏運気」と呼んで、自分の裏側の能力や才能が発揮される時期だと言っています。

 

 ――古典的な占いと違って、飯田さんの表現は現代的というか、とてもわかりやすいですね。

 

 音楽で言えば、クラシックの楽譜を私がJ―POPにアレンジしている感じで、昔の占いで使われている難しい用語を、現代に合わせてわかりやすく変えているんです。さらに、今は時代の変化のスピードが速いので、その流れに合わせて調整しています。

 

 ――飯田さんは“芸能界最強の占い師”と言われていますが、芸能という世界に身を置いてるからこそ、その流れに敏感になり、それが相乗効果を生んでいるのでしょうか。

 

 芸人もやって、放送作家もやって、占いもやってずるいと、みんなからよく言われてます。こんなヤツほかにいないと(笑)。

 

 ――人だけでなく、世相がどうなっていくかもわかるんですか。アメリカのトランプ大統領の再選はありますかね。

 

 トランプさんは、実は今年はあまりいい運気ではないです。結局、運の良い人が時代を動かすので、そこを見れば世相の予測も立てられます。

 

 そもそも、芸能の業界で言えば、芸能人は山ほどいる中でテレビに出られている人というのは、それだけで運は良いんです。実力ももちろん必要ですが、プラス、運の良い人がポンと出てくる。

 

 「引きが強い」という言葉がありますが、やはり時代にマッチした人が強い。ですから、仕事をうまくいかせたいと思ったら、やはり運を上げることを考えるのが大切ですよね。

 

 運の良い人に、人は注目する。私は、人の魅力というのは運が左右すると思っています。

 

本屋で「場所取り作戦」を展開

 

 ――飯田さんの本は大人気ですが、全国の書店を回ったり、トークライブも開かれているそうですね。

 

 300万部の大ヒット作を書かれたある作家さんにお会いした時に、「なぜそんなに売れるんですか」と聞いたことがあるんです。そうしたら、折り畳み自転車を持って全国の書店を、「この本を書いた者です」と言ってサインして回ったと聞きました。

 

 それを聞いて、「本というのは努力で売るもんなんだ」「努力して売れるならば努力しよう」と思って、全国をめぐるトークライブツアーを組み、各地の書店をあいさつしながら回っているんです。

 

 そこで占いの本を担当している店員さんや店長さんも占ってあげて、仲良くなり、良い場所に私の本を置いてもらうと(笑)。

 

 地方の本屋に芸能人が来ること自体あまりないうえに、私の場合は占ってあげるので、みんな喜んでくれるんです。地道にそういう〝場所取り作戦〟を展開しています。

 

 ――最近は電子書籍を読む人も増えているでしょう。

 

 確かに、電子書籍を読む人は増えているんですが、実は、マンガ以外はそれほど数字が伸びていないんです。

 

 と言うのは、触覚の中で人間が一番敏感に感じ取るのは手の指と舌で、特に、指先は脳と密接につながっていて脳に刺激を与えます。ですから、ネットで読むよりも、本を手にして指先でページをめくって読んだほうが内容を記憶しやすいんだそうです。

 

 おもしろさを求めて読むマンガはネットで満足できますが、それ以外の本は、ネットで読んだだけでは、情報としてのエッセンスみたいなものは得られても、なかなか内容が頭に残らない。

 

 ネットが普及した今でも、本で読みたいという人は意外と多い。そういう意味でも、僕は本はなくならないと信じていて、これからも本を延々と出して売っていきたいと思っているんです。

 

 とはいえ、実際に売れないと困るので、立ち読みでは覚えられないくらい情報量を多くしたり、トークライブの観覧と僕の対面鑑定プレゼントの応募券を付けたり、手帳を付けたりと、本を買って読んでもらうためのいろいろな工夫をしていますよ。

 

 ――ご自身も読書が好きで、本をたくさん読まれるとお聞きしました。

 

 自分が書いたゲラのチェックをし始めてからは、読むスピードがどんどん速くなって、今は小説とかビジネス書とか同時に3冊ぐらいを斜め読みしています。

 

 世の中には良い本がたくさんありますから、いろいろな作家さんの本がもっともっと売れてほしいですよね。本屋って、アイデアの宝庫なんです。棚に並んでいる本のタイトルを見れば、人が欲するものがわかる。

 

 今は何が流行っているのか、みんな何を知りたがっているのか一目瞭然ですし、それを知ることで次は何が来るのか予測を立てるのも好きなので、時間があると本屋に行ってます。

 

 本屋というのはすごく大切な場所だと思っていて、私の本を目当てに本屋に足を運んだ人が、また別の本を買ってくれたら、本屋を助けることにもなる。私の本を読むことで多くの人が幸せになってくれたらなという想いと同時に、本屋のおもしろさに気づいてもらえたらなと思っているんです。

 

9月に新刊、200万部目指す

著書は2年連続で100万部に、今度は200万部を目指し、チームで作戦を組んで動くという ©伊井龍生

 

 ――今後も執筆が活動の中心ということになるんですか。

 

 そうですね。もともと本は100万部を目標にしていて、おかげさまで『ゲッターズ飯田の五星三心占い』(セブン&アイ出版)は2019年版、2020年版と2年連続で100万部を超えました。

 

 今年9月に2021年版が出るので、今度は200万部を目指していて、そのためにチームで作戦を組んで動こうと考えています。

 

 あとは、例えば、「金のインディアン座」と「銀の時計座」の2人が出会ったらどういう恋をするかというのを、作家さんに小説にしてもらって、それを私が解説するようなコラボ企画とか、占いをより実践的なことに活かしたり、楽しめるものにしたり、エンターテイメント化していきたいなと思っています。

 

 やれることはまだまだいろいろあると思っています。占いって楽しいじゃないですか。食わず嫌いだったものを食べてみようかというように、飯田が言ってたから、あまり興味はなかったけどこれをやってみようかとか、あそこに行ってみようとか、私の占いが何かを始めるきっかけになって、そこから新しい道を切り拓いてもらえたら嬉しいですね。

 

シニア世代に向けた占いの本も

 

 ――人生100年時代と言われています。

 

 最近、本を買う世代も高齢化していますので、シニア世代というか大人が読む占いの本も、もっと作ろうかとも考えています。老後や孫、健康や財産などいろいろと悩みもあるでしょうから。

 

 ――新聞も読者が高齢化していますね。

 

 新聞こそ大変に見えます。しかし、地方や地域ごとに見ると、おもしろい情報も多いですよね。

 

 先日、地方のテレビで地元の全市町村を回るといった企画をしていました。地元のラジオ局も連動していました。それを見ている人たちは、それが自分の町に来るのを楽しみにしている。

 

 地方の各地域にはさまざまなコンテンツが、まだまだ埋もれているでしょうから、地方の中でそうやってぐるぐる回していくのも、おもしろいですね。

 

 ――今日はありがとうございました。