【新型コロナ】緊急事態宣言で多くの書店が休業 時短での営業継続も

2020年4月8日

休業している三省堂書店 神保町本店 (4月8日撮影)

 

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言を受け、対象となる7都府県で営業する書店も対応に追われている。大手取次トーハンによるとこの影響で同社取引の250店ほどが休業しているというが、休業するショッピングセンターや百貨店に入居する書店が休業を余儀なくされている一方で、単独店舗などは時短営業を継続するケースも多い。8日時点での状況をまとめた。

 



 政府が緊急事態宣言を発表した4月7日は、この日に発表されるとされていた休業要請の対象業種の詳細が明らかにならない中、多くの書店関係者が翌日からの店舗営業について情報収集と調整に追われた。

 

紀伊國屋書店 30店弱を一時休業

 

 紀伊國屋書店はこの時点で1都1府5県にある店舗を中心に30店弱を一時休業。新宿本店は時短、土日休業で営業を続けているが、梅田本店は休業すると発表。

 

 【関連】紀伊國屋書店 緊急事態宣言受けて30店弱を休業、海外店の多くも

 

丸善ジュンク堂書店 16店が時短・土日祝日休業、34店が休業

 

 丸善とジュンク堂書店を展開する丸善ジュンク堂書店は、本紙取材によると7都府県で営業している店舗のうち、丸善丸の内本店をはじめとした16店が時短・土日祝日休業などで営業を続けているが、インショップ店舗を中心に34店が休業している。出版社に対しては現状についての説明文書を配信した。

 

三省堂書店 対象地域の13店舗休業

 

 三省堂書店はこの日時点でデベロッパーの方針が決まっていない海老名店とカルチャーステーション千葉店を除き、本拠地の神保町本店と旗艦店舗の有楽町店を含めた対象地域の13店舗をすべて休業。

休業を知らせる張り紙(三省堂書店 神保町本店)

 

くまざわ書店 77店が休業、46店が時間短縮

 

 全国にインショップを中心に多くの店舗を展開している「くまざわ書店」は、7都府県にある123店のうち、インショップを中心に77店を休業する一方、本拠地の八王子店をはじめとした46店は時間短縮などで営業している。


 同社によると、ショッピングセンターは全面休館やフロアごとの休館など個別に対応が分かれており、なかには食料品店や医薬品店と同様に書店を開けるようディベロッパーから求められるケースもあるという。ただ、当該地域で店舗の3分の2ほどの店舗が休業になる影響は大きいとみている。

 

天一書房 日吉店が5月6日まで休業

 

 神奈川県で書店4店、文具2店の6店舗を運営する天一書房(多摩興産)は、日吉店が入居するショッピングセンターの休業で5月6日まで休業、文具店101綱島店を時短営業にしているほかは通常通り営業している。


 統括店長の南雲光晴氏によると、駆け込み需要で日中はかなり来店が増え、特にコミックや児童書が目立つというが、今後この状況が長期化した場合の売上減少、スタッフの感染リスクに懸念があり、休業補償や収入減のスタッフへの補償などを求めている。

 

ときわ書房 船橋店と新浦安店が休業

 

 千葉県に9店舗を展開するときわ書房は、ショッピングセンターに入居するイトーヨーカドー船橋店、ニューコースト新浦安店は休業しているが、そのほかの店舗は時短営業を続けている。


 外商部・森田将氏は、スタッフや顧客の感染、時短による売上減、スタッフへの補償など懸念も多いとしながらも、「個人的には、日ごろから書店はマスコミの一端を担っていると考えているので、今後も変わらず、お客様にはいろいろな情報をきちんとお伝えしなくてはと思っている」と話している。

【星野渉、成相裕幸、金井まゆみ】