徳間書店 早川史哉『そして歩き出す』刊行記念イベント 、闘病生活を振り返る

2019年12月13日

左から早川選手、サッカージャーナリストの安藤氏

 早川史哉『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』の刊行を記念したトークショーイベントが12月12日、東京・豊島区の三省堂書店池袋本店で開かれた。著者でJリーガーの早川選手が、共同制作者の安藤隆人氏と対談し、発病から復帰までの出来事を振り返りつつ、自著に込めた思いをファンの前で語った。


 徳間書店から10月26日に刊行された同書は、プロデビューした2016年に急性白血病と診断されたアルビレックス新潟所属の早川選手が、闘病生活を経て、公式戦に復帰するまでの3年7カ月をつづった一冊。刊行から約1カ月半で、3刷1万3000部と順調に発行部数を伸ばしている。


 出版のきっかけはサッカージャーナリストの安藤氏が、スポーツ雑誌のコラムで早川選手を取り上げたことだったという。病室でそのコラムを読んだ早川選手は、リハビリを始めた17年ころから、自分の経験を発信していきたいと考えており、安藤氏と連絡を取り合って、本作りが進んでいった。


 早川選手は「発病してからの経過を知られていないこともあって、周りの人たちが口にした言葉でショックを受ける場面があった。本では自身の今までをしっかりと正直に書いた。友達からは『あのときは気軽に頑張れといってゴメン』と謝られたりした」と本を刊行してからのエピソードを紹介。入院していた日々に感じていた思いとして、「本当に苦しい状況の中では、思いやりの言葉をかけても難しい状況がある」と述べた。

 

『そして歩き出す』(徳間書店)

 また、イベントの質疑応答で、参加者の女性から「私の息子も白血病で闘病しているが、早川選手からメッセージをもらって頑張っている。息子からは自分の気持ちがすべて書いてあるので、早川選手の本を読んでほしいと言われた。病気の息子に、母親がどういう接し方をすれば、うれしいと思うのか教えてほしい」と助言を求められた。


 早川選手は「家族の寄り添ってくれる姿や周りの暖かい思いは、その瞬間には届かないかもしれないが、必ず後々になってから届く。その時々に惑わされず、愛情をもって接してほしい」と答えた。

 

□『そして歩き出す』(徳間書店)=四六判/240㌻/本体1500円