DNP 出版ビジネスモデル革新で説明会
グループ書店の販売データ活用など出版流通の構造改革策を提示

2019年7月11日

コンセプトワード「NewStart」を示して説明する浅羽常務執行役員

 

 大日本印刷(DNP)は7月10日、出版流通改革などを含めた「出版業界のビジネスモデル革新を支えるDNPの取り組み」と題したメディア向け説明会を開き、グループ書店の販売データを活用した需要予測や、書籍流通センター(SRC)を利用した直接取引などの取り組みを発表。今後は他の書店などにも拡大していく考えも示した。


 同日から開催した「出版イノベーション展」で、製造から販売にいたる出版サプライチェーン全体をサポートするソリューションを展示。


 説明会ではこれらソリューションのテーマである「ブック・ライフサイクル・マネジメント(BLM)」、「ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)」、「コンテンツ・ライフサイクル・マネジメント(CLM)」と、同日発表したAIによる雑誌誌面の自動生成などについて説明した。


 BLMは出版物が企画されて販売・断裁にいたるまでのライフサイクル全体を、グループのリソースを使って支援する取り組み。グループ書店のPOSやネット書店などで収集した販売データから需要を予測し、配本の最適化、販促提案などを行うとともに、出版社の倉庫とSRCをEDI連携し、客注品などを直接取引で納品することで迅速に届けるといった課題解決策を提案する。


 こうした取り組みはグループ書店以外にも広げていく考えで、浅羽信行常務執行役員は「考え方が同じ書店とデータ連係などを進めたい。他の書店や取次とも連携していきたい」と話した。


 また、グループが持つ会員500万人の行動データや、ネット書店の閲覧データなどから商品と顧客をマッチングする広告配信プラットフォーム(DNP BookAD)も提供していく。


 BPOは働き方改革が求められる中で、出版社の業務をサポートするビジネスプラットフォームを提供する。例としては、社内で調査・分析を行い、業務設計から最適ワークフロー構築、各業務の支援を行う〝駐在型〟編集・制作支援サービスなどを提供していく。


 CLMは出版社が書籍・雑誌の制作以外に業域を拡大していることに対応し、出版社が持つコンテンツに、DNPが新しい価値を付加してプロモーション、イベント・セミナー、会員ビジネス、ライツビジネスなどの形で企業や生活者に提供するマッチングサービス。出版社の編集力を活用したカタログ、企業出版なども想定している。


 全体の取り組みについて説明した出版メディア事業部事業企画本部・若林尚樹本部長は、「出版業界では流通を含めた構造改革が必要性だという意識が高まってきた」と同社が進める事業の有用性を強調。「BLMは版元の経営改善、BPOは版元の足りないところを補う、CLMは版元のコンテンツの価値を最大化する」と述べ、「BtoCの領域で版元ともに売っていくところまでが我々の事業」と、印刷にとどまらない事業展開を目指すことを強調した。

 

誌面自動生成技術を発表

 

 DNPは同日、エー・アンド・ユー、新建築社と共同開発した雑誌の誌面を自動生成する技術について発表し、説明会ではABセンターICT事業開発本部・前田強ユニット長が実際の誌面を示して説明した。


 DNPが印刷物の制作・製造で培ってきた画像処理や自然言語処理、データ解析などの技術と、AIを掛け合わせて活用することで、雑誌らしさに合致した複数のレイアウトを自動で生成し、提示できる技術を開発。


 3社は雑誌『a+u』の過去15年分の誌面データをAIに学習させ、7月27日発売の同誌8月号のレイアウト制作の一部に活用した。
 前田ユニット長は当日朝に出力したという初稿ゲラや、実際の誌面と自動生成誌面の比較などを示し、今後さらに本格的に活用し、雑誌、書籍、パンフレット、カタログ、広告などへの利用も想定した出版・編集支援サービスを構築する考えを示した。