徳間書店 TSUTAYA仕入方式に参加 下期に向け他書店にも拡大へ

2019年7月5日

徳間書店・平野社長

 カルチャー・コンビニエンス・クラブ(CCC)グループのTSUTAYAが推進する新たな仕入方式に参加した中堅出版社の徳間書店は、昨年の実験で一定の成果を得たことから取り組みを継続。今年下半期に向けて他の書店グループにも同様の方法を提案するなど拡大していく方針だ。


 TSUTAYAの新たな仕入方法は、新刊を含めて全商品をTSUTAYA本部が発注して各店舗に配本。20%程度の返品枠を設けて買い切り、出版社への返品率を低減することで生じる原資を元に、書店マージンを増額する試み。


 今年6月に開いた出版社説明会で提案するのに先立って、昨年下半期に同グループの徳間書店と実験的に開始した。


 徳間書店はCCCグループのカルチュア・エンタテインメントに属するため、他の出版社関係者から、グループ内で求められて実験に参加したとみられることもあるが、平野健一社長は「多くの返品を生む状況にどう手を付けようかと考えていたときに、同じ目標を持った構想だったので積極的に参加した」と述べる。


 実験は同社が刊行する出版物のうち雑誌とコミックスを除く、月間刊行点数30~50点に及ぶ文庫、書籍、ムックなどすべてを対象に実施。


 発売前に書誌情報を提供し、同社などグループ出版社の販売を担当するC―パブリッシングサービスとTSUTAYAの商品部が、アイテムごとに他社商品を含めた過去類似商品の実売データや、店舗ごとの詳細なジャンルランキングなどから配本数を決める作業を行った。


 この結果、期間中にTSUTAYAで扱った徳間書店の書籍は、前年に比べて返品率が9ポイント低下し、売り上げは34%増加した。


 平野社長は「個々の商品力もあり一概にはいえないが、良化したことは確か。効果はある」と述べ、「データを蓄積することが重要」との考えから、実験が終了しても取り組みを継続している。


 また、この需要予測を取次への搬入部数決定にも生かしている。自社の提案が取次の仕入から提示される部数を下回るケースも出ているという。


 平野社長はこの仕入方法を、他の書店グループにも提案していく。配本データ作りなどのシステム化が必要だが、「当社売り上げに占める比率を高めなければ返品削減の効果は少ない。下期に向けてこの実例を広げていく。また、この仕組みを実現していくには取次さんとの協力関係も欠かせない」という。


 対象になる書店は、過去の実売データを開示できることと、追加・補充などの発注を管理できることが条件。それが実現できれば書店規模の大小は問わない。


 TSUTAYAとは返品率上限を設定し、達成した場合に利益を還元した。他書店への提案も、それぞれの書店と目標返品率を設定し、達成したらバックマージンで還元する。直接取引を行う考えはなく、物流や決済などは取次を利用する。


 平野社長がこの取り組みを進める背景には、「いままでのやり方では破綻する」という危機感がある。そのため小売側と需要予測を共有して供給するこの方式によって、「返品を減らすことで粗製濫造をせず企画を厳選する。出版社の営業の仕方と、編集の考え方を変えて目標を共有していきたい」と考えている。


 あえて自ら踏み出すことについては、「自分たちでできることからやるしかない。方向性はこれしかないと思う。踏み出して、問題があれば改善していく」と述べる。