書店向けキャッシュレス勉強会、QR決済の現状などを説明

2019年4月5日

 文化通信社は一般財団法人全国書店再生支援財団の協賛で3月27日、東京・文京区の文京シビックセンタースカイホールで、「中小書店勉強会キャッシュレス化の動向と対応を知る」を開き、ムック『QR決済』(日経BP)も手掛けた日経BP社『日経FinTech』編集長の原隆氏が、注目されるキャッシュレスの現状や見通し、小売業としての注意点などを話した。

 今秋の消費税増税や来年の東京オリンピック開催に向けて、クレジットカード、交通カード、そしてQR決済などのキャッシュレス化が急速に進もうとしている状況について、原編集長は政府がキャッシュレスの比率を2010年から倍増する目標を設定していることなどを上げて説明。

 政府、利用者、企業にとってのそれぞれメリットがあるとし、クレジットカードなどに比べて、QR決済は提供企業が導入費無料やキャッシュバックなどキャンペーンを展開することで、「導入のハードルはかなり下がっている」と述べた。

 移行期においては、導入店が増えるにつれて利用者がメリットを感じて導入店を選択するようになる「ネットワーク効果」が発揮され、交通系決済に非対応だった個人タクシーを避ける利用者が増えたように「キャッシュレス非対応はリスクになり始めている」と指摘。

 総務省の調査では70歳以上でキャッシュレスの利用が急増していおり、「世代が上になるほど現金を好まない」状況があると報告した。

 QR決済については、銀行系、大手企業系、新興企業系のサービスがあり、それぞれ事業者の規模(安定性)、会員規模、諸経費、入金サイト、インバウンド機能といったポイントの一覧を示し、これらを比較して検討する必要があると説明。

 また、決済手数料がかかる点については、レジ締めや精算業務の効率化で、人件費などの経費が下がる面を見る必要があるとの考えを示した。

 その上で、小売業者にとって今後の労働力不足に備えるため、「キャッシュレス決済は入り口。精算業務、請求業務、給与計算などのデジタル化による経営効率化を図る必要がある。その入り口がアナログではダメ」と述べた。

 質疑では、導入すべきQR決済など、具体的な質問が数多くあった。