出版業界で働く女性有志による「出版女性人大忘年会2018」を開催

2018年11月30日

 出版業界で働く女性有志による「出版女性人大忘年会2018」が11月21日、東京・文京区の講談社26階パーティールームで開催された。同会発起人の一人、須藤令子社長(朗月堂・甲府市)によるミニ講演会をはじめ、出版社で働く参加者が「いま、女性におすすめしたい一冊」をテーマに本を持ち寄って会場内に展示し、書店で働く参加者に気になった本を持ち帰ってもらう新たな試みも行われた。

 同会は、?業界内外の情報交換や自己啓発を通じて女性ならではのネットワークを構築し、業務に役立つ知識を得る機会とする?先輩の結婚や子育ての経験を自身のライフスタイルの参考にし、会社や業界に貢献する?男性と協働するためのより発展的な仕事の仕方を学ぶ?人の上に立つリーダーとしての資質と責任について考える?先輩後輩それぞれの感覚や経験、知見を学び、人として女性としてさらに成長する――を目指して開催しており、今年で3回目となる。業種に関わらず、「出版」「女性」をキーワードに、会社を超えて交流することで有益な会を目指している。

 3回目となる今回は、講談社販売局第二事業販売部・橋本芽礼部次長、青春出版社営業部営業第一部・栗生圭子次長、KADOKAWA営業企画局ビジネス・生活文化部生活文化課・大木絢加さんが幹事を務め、書店、取次、出版社などで働く170人を超える女性が出席した。

 発起人を代表してあいさつした?橋小織会長(BOOKS隆文堂・国分寺市)は、「出版界はまだまだ女性の力をフルに発揮できていないところがある。社内に女性の先輩がいなくても、ここにはたくさんの先輩がいる。ネットワークを作り、若手から先輩まで情報交換をすることで横の連携を作ってもらいたい。女性のパワーを生かして男性とともに協働・協業することで、一緒に出版業界を盛り上げましょう」と力を込めた。

 続いて、須藤社長が「まちの書店の今とこれから」をテーマに講演。自店の立地や競合などの書店環境にふれて、自店の強みである「豊富な在庫」が強みでなくなる日がいつか来るだろうと考え、トーハンコンサルティングによる接客研修を社員だけではなく、パート、アルバイトも一緒に受講するなど、人材育成にも力を入れ、在庫以外の「強み」を増やす取り組みを続けていることを紹介した。

 須藤社長は、「私たちは、読者を育てたい、もっと本を売りたいという思いは一緒。しかし、書店は疲弊している。末端の書店が減ることは業界の損失に繋がる。今日のこの会をきっかけに親しくなり、イベントの企画や提案をしてもらうことで、書店を盛り上げることができる。協力してもらいたい」と話した。

 続いて、同会の発起人の紹介があり、講談社第六事業局・鶴見直子局次長が「ここに集まったみなさまをまずは褒めたい。この会がどんな会なのかは分からない、だけど行ってみよう。この気持ちが大事。明日からの道を開く、オープンマインドで行きましょう。そして、ここに来て良かったと思えることをひとつでも持ち帰って、また来年も来てほしい」と述べ、懇親会に移った。

 中締めの前には、来年の幹事を務める、イースト・プレス営業部販売促進課・栗田さやかさん、草思社営業部・山内由輝子さん、双葉社営業局第一営業部・君塚さゆりさんの3名を紹介。

 中締めに立った平凡社・下中美都社長は、「出版界はとても仲が良い。連携も強いが、男性社会。男性は縦社会を大事にしているが、女性は実質的。縦社会をすっ飛ばして行動に移す」と女性が持つ力を代弁。

 そのうえで、「来年は平成が終わる。社会の成り立ちが変わる。あたりまえのやり方を疑い、良いアイディアに気がつくのは女性だと私は思っている。女性はさっと横に繋がれるコミュニケーション能力を持っており、これを活かしていけば変わっていける」と語りかけた。

 同会に参加した、あさ出版・藤井喜代子取締役営業部長は、「この会は、『一緒にやっていこう』という意気を感じさせてくれる。仕事では成功事例を共有するのが難しくなっている。この会を通じて、参加者のみなさんとのお話を通して、成功事例やアイディアを共有し、会社に持ち帰ることで、さらなる企画に繋げることができる。この機会をもっと大切にしたい」と話した。