元リブロ・辻山良雄氏が本屋Titleオープン

2016年1月13日

 元リブロ池袋本店で統括マネージャーを務めていた辻山良雄氏(43歳)が、1月10日に東京・杉並区で小さな書店「Title(タイトル)」を開業した。

 場所はJR中央線の荻窪駅から徒歩10分程度の青梅街道沿い、八丁バス停近く。店はかつて唐揚店だったという2階建ての古い民家で、全面的に改装し、1階20坪に本18坪と8席のカフェを設け、6坪の2階をギャラリーにした。営業時間は11~21時。定休日は毎週水曜・第3火曜(1月13日水曜日は営業)。

 辻山氏は「雑誌も文庫本もあるような見慣れた本屋の風景」と表現する。すべての商品を自身で選んでいるが、いわゆる“セレクトショップ”を目指すのではなく、多くの人が見慣れてきた街の書店、「新刊本の楽しさ・新しさが詰まったような店にしたい」と考えているからだ。

 そのため、本は学参を除いて雑誌、児童書なども含めた各ジャンルを揃える。在庫冊数は約1万冊。日本出版販売(日販)と取引しているが、新刊配本は受けず、雑誌も限られた銘柄に絞っている。リトルプレスなど20社ぐらいは直接取引している。また、オリジナルのグッズも販売する。

 コストを抑えるため、店のコンセプトに合う人文系出版社などと交渉して、書籍の初期在庫については3割程度を長期委託にした。また、書棚は閉店した書店から購入するなど改装費も極力抑えた。書店は辻山氏、カフェは夫人が担当する。

 辻山氏は「取次から仕入れられる本は基本的に日販から入れる」と話す。初期在庫の条件などは出版社と交渉したが、物流や決済など取次のメリットを生かしていこうと考えているからだ。

 レジはiPadを使ったクラウドPOSレジ「スマレジ」を使い、初期在庫は送品データを取り込んで単品管理。パソコンで日販の書店管理システム「NOCS7」を使って発注する。

 カフェではコーヒー「八丁ブレンド」450円をはじめ、紅茶、ジュース、ワイン、ビールなどを出す。近くカレーなどのフードも用意する。

 ギャラリーでは「本をひらく展?」として、批評家・若松英輔氏の『悲しみの秘義』(ナナロク社)から装画の原画と同書の言葉を壁面に貼って「一冊の本をひとつの部屋にひらい」ている。今後も本にまつわる展示を企画しており、読書会やワークショップなども可能。著者のトークイベントなどは1階の中棚を移動して開いていくという。

 所在地〒167-0034東京都杉並区桃井1-5-2/電話03(6884)2894。