東海テレビ放送、不適切テロップ1年で社長会見

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2012年8月9日
 【中部】東海テレビ放送(浅野碩也社長)は、昨年8月4日に同社の生情報番組「ぴーかんテレビ」で、岩手県産米のプレゼント当選者を「怪しいお米」「セシウムさん」と、不適切なテロップを表示した問題から1年を迎えるにあたり8月3日、社長記者会見を行った。

 浅野社長は、利益重視の経営から、公共性と放送倫理に重点を置いた新たな経営計画を策定したことと、再生委員会からの提言を踏まえた再発防止に取り組んでいる現状等をまとめた「再生の取り組みのご報告」と題した26?の冊子を作成したことを発表した。

 浅野社長は「一連の問題で東日本大震災の復興に水をさした」と改めて謝罪。また「再発防止の取り組みは道半ば、一歩一歩努力していく」と引責辞任に関しては否定した。

 「二度とこのようなことを起こさないように、時がたっても、この問題を風化させることのないよう、毎年8月4日を『放送倫理を考える日』と定め、昨夜は全社集会を開き、再生への誓いを新たにした」と述べた。

 また、再生へ向けた取り組みでは「スタッフの中には、放送倫理や社会人教育が不十分な点が見受けられた」として、放送人としての心得や放送倫理、製作者としての基本知識を再確認するための手引書となる「制作ハンドブック」も作ったことを明らかにした。

 制作現場で必要となる生きた情報を盛り込むため、制作部、情報制作部と関連会社スタッフ(プロデューサーからADまで約80人)から、番組制作における疑問や問題点などを洗い出して作成したという。

 再生委員会の答申では、不適切テロップ問題の発生要因として「利益偏重で安全・安心を軽視した第11次経営計画(11年4月~14年3月)そのものに不備があった」と指摘されたことから、この第11次経営計画を中止し、放送の公共性と放送倫理に重点を置いた第12次経営計画(12年4月~15年3月)を新たに策定。「放送局としての原点に立ち返り、理念と目指すべき方向を明確にした」と説明した。

 ビジョンは「愛され、信頼される地域最良のテレビ局」。放送の持つ公共性、公益性を自覚し、社会的使命を感と高い倫理観を持って職務を遂行するなど5項目を基本理念とした。コンプライアンスの推進と放送倫理教育を徹底し視聴者の信頼回復に務める、震災被害地への支援を継続する、など6項目を基本方針としている。

  冊子は1000部作成し、岩手県庁やJA岩手中央会、取引先、民放連などに配布する。また電子版を4日から同社のホームページで公開している。