被災書店の返品処理で取次提案に出版社団体が返答

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2011年4月15日
東日本大震災で被災した書店などからの返品について、日本出版取次協会(取協)は4月はじめ、出版社団体に対して返品の特別処理と返品受付期限の延長を求める要望を出した。これに対して、日本雑誌協会(雑協)、日本書籍出版協会(書協)、出版流通対策協議会(流対協)が相次いで返答を送り、いずれも被害は出版社と取次が双方で負担するべきなどの考えを示した。取協は4月1日付で「地震による被災書店様在庫返品の特別処理と輸送遅延による返品受付期限の延長のお願い」をまとめ、出版社団体に伝えた。要請は、被災書店の在庫返品について、「水濡れ、汚損・破損の程度が著しい商品や、原形をとどめていない商品については、スリップやカバーなど商品を特定できるものや一覧表で入帳する」、「買切品や返品期限切れ商品についても特別に入帳する」、「火災や津波で消失したり現品の回収が困難な遺失商品については、在庫情報、送品・返品・販売実績で取次と書店が特定した明細での入帳する」ことを求めている。また、現物での返品ができない商品については、現地で処分するとしている。さらに、現物が存在するものと、スリップが存在するものについては、通常正味で入帳することを要請。回収不能品については?被災状況がわかるものを提供する?在庫の特定は、取次および書店データを使用して作成した在庫リストに基づき確定する?常備商品は対象書店の送品実績に基づき特定する――とし、さらに?から?の資料に基づいて特定した金額についての入帳を求める――としている。このほか、返品受付期限について、既に1カ月の期限延長を行っている雑誌と同様に、書籍についても期限切れの受付延長を求めた。これに対して雑協は7日に返答。水濡れ、汚損・破損の程度が著しい商品の現地処理を認め、その場合には写真による確認や、コミックスやムックの正確な一覧表作成を求めた。また、書店で被災した商品と取次倉庫で被災した商品など「個別に考えることも必要」と指摘し、返品処理については「貴協会と話し合いを重ね、会員各社の意見を聞きながらさまざまな方策を探りたい」とするにとどめた。書協は8日に返答。現地処理については「基本は現物返品」との姿勢を示しながら、困難なものについては「写真での確認」「裏づけとなるデータ」の提供など、雑協と同様の対応を求めた。返品処理については、「規模、実態把握のための情報共有、被災書店様の各種データを整えるなど時間も努力も必要」と指摘。また、既に個別の書店からの問い合わせがあり、「全貌が判明していない現段階で、版元が個別対応することは大変難しい」とし、取次ごとに集約することを要請。書協、雑協とも、「双方が負担を背負いながら」などと、取次と出版社が負担を分担すべきだとの考えを示している。流対協は12日に回答を発表。「返品受付期限の延長並びに被災商品の返品入帳を行っていく」としたうえで、「負担を分かち合っていくのが原則」とし、取協の要請を「被災書店の汚損商品の通常正味入帳を求めるのみで、自らの応分の負担は全くないという、身勝手と言われても仕方ない内容」と批判、「取次口銭の正味分をカットして、歩安入帳を出版社に求める」程度の負担をすべきと主張している。