公取委、新聞割引の相談事例を公表 正当かつ合理的な理由あると

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2009年7月8日
公正取引委員会は6月23日、08年度の独禁法に関する相談事例集を公表、その中のひとつとして、新聞発行事業者が、1年分の購読料前払いを前提として購読料を割引くことについての相談事例がとりあげられている。それによると公取委はこの相談に対し、新聞業の特殊指定第1項に沿って、「条件を満たす長期購読者向けに、自社が発行する日刊新聞の定価を割り引くことは、直ちに独禁法上問題となるものではない」と回答している。公取委は、独禁法上の問題があるかどうかについて事業者や事業者団体から受け付けている相談のうち、独禁法違反行為の未然防止の観点から、ほかの事業者にも参考になると思われる事案について、その概要を事例集にまとめ、公表している。今回公表された新聞社の相談事例は、日刊新聞を発行する新聞社が?購読期間は1年?1年分の購読料を一括前払い?クレジットカードでの支払い、を条件に定価を割り引くことは独禁法上問題がないかと相談したもの。「割引幅は新聞社や新聞販売店に利益が出る範囲」としている。公取委はこれに対し、新聞業の特殊指定第1項に沿って、「長期購読者を対象とする趣旨、割引の条件、割引幅の水準などを総合的に勘案すれば、正当かつ合理的な理由がある割引であると考えられる」との考え方を示し、同相談事例については、独禁法上直ちに問題となるものではないとした。公取委取引部相談指導室では「あくまで相談を受けているだけで、その後の事業者の行為については把握していない」と話している。※新聞業特殊指定 新聞業における独禁j法上違反となる「不公正な取引方法」について規定した告示。第1項では「日刊新聞(以下「新聞」という。)の発行を業とするも者(以下「発行業者」という。)が、直接であると間接であるとを問わず、地域又は相手方により、異なる定価を付し、又は定価を割り引いて新聞を販売すること。ただし、学校教育教材用であること、大量一括購読者向けであることその他正当かつ合理的な理由をもってするこれらの行為については、この限りでない」と規定している。