小学館、11月にRFIDで複数条件を実施

2008年7月1日

 小学館は7月1日、東京・千代田区の如水会館で08年下期新企画説明会を開催し、11月18日発売予定の「ホームメディカ 新版・家庭医学大事典」を、RFタグを使って書店出し正味65%の責任販売制と、返品自由だが通常正味の委託販売制を同時発売する複数取引条件で発売することを発表した。

 複数の取引条件を併用する目的は▽高返品率、廃棄処分増加の改善▽取次の物流経費全搬の軽減▽書店マージンの見直し▽出版社の計画生産体制と返品・改装・在庫処分コストの軽減。 

 責任販売制品は出版社出し正味57%、取次出し正味65%にすることで書店マージン35%を確保し、返品を書店からは30%、取次からは20%入帳とする。一方の委託販売品は返品は無期限で可能だが通常正味になる。

 また、いずれも3カ月延勘で返品期限は09年5月末まで。販促費は委託販売品のみ10部以上の場合1部につき50円を支払う。

 書店は事前に責任販売品と委託販売品を同時に発注することができる。商品に装着するICタグにそれぞれの取引条件を書き込んで出荷することで、返品された場合に識別し、条件に合わせた返品入帳処理が可能になる。

 カバーケースのバーコード部分にタグを取り付け、昭和図書から取次経由で書店に配本するが、今回は導入コストとスケジュールの都合で、書店、物流現場の大半は目視検品・手作業で対応できるように、商品が区別できるよう、ケース(天)と帯(背)にマークを付け、色分けしたスリップ色を入れる。

 本体価格は6500円で、09年5月末まで同6000円。責任販売5万部、委託販売3万部の計8万部を販売目標に置く。責任販売制の場合、満数出荷対応になる。受発注期限は書店から取次は10月3日まで、取次から小学館へは同20日まで。

 説明会で大住哲也常務は、「責任販売制と委託を併用することで書店が利益を出しやすくし、返品率を改善する。これにより売上低迷の巻き返しを図りたい」と説明。

 マーケティング局・市川洋一GMは「多様性のある取引条件で計画的に販売していく。書店が販売意欲を持って商品を売っていけることを主眼に置いている。時期尚早かも知れないが、一歩を踏み出さないといけない」と述べ取引条件の内容を説明した。