日本ABC協会が2025年上半期の雑誌発行社レポートをまとめた。相変わらず雑誌の販売が厳しいと言えばそれまでだが、その中でも伸びている雑誌もあり、各出版社の施策や努力の跡を伺うことができる。
まず、この30年で販売金額が90%減少(出版科学研究所調べ)している週刊誌は、前年同期比同率を維持した『週刊女性』を除き、軒並み部数が減少。前年同期まで10万部を超えていた『週刊現代』『週刊新潮』『週刊ポスト』が10万部を切った。唯一10万部台の『週刊文春』も5・4%減となったが、デジタル版は前年同期の1027部から1万6033部と大幅に伸びた。
文藝春秋では他誌のデジタル版も『スポーツ・グラフィック ナンバー』が1051部から6897部(556・2%増)、『文藝春秋』が2406部から4424部(同83・9%増)と伸長。『文藝春秋』が動画を充実させるなど、雑誌ブランドのデジタルコンテンツに力を入れている。
紙版でも、マガジンハウスは『Casa BRUTUS』 (同57・4%増)、『クウネル』(同29・0%増)、『BRUTUS』(同8・8%増)、『Tarzan』(同7・8%増)、『クロワッサン』(同2・4%増)とすべての報告誌が増加。企画と充実とともに、きめ細かい販促が奏功して実売が伸びているという。厳しい中での模索の結果といえるだろう。【星野渉】
