RFIDとブックチャート
PubteXが進める書店RFIDは、導入書店が70店に迫り、年内に115店に達する見込みだという。書店側には期待する声も多いようだが、実際の導入作業には時間と人手がかかる。一気に普及させるためには国の支援など後押しも必要だろう。
当初は防犯効果がクローズアップされた。導入前に比べて商品ロスが8割以上減ったという報告もあり、それだけで十分に導入の意味があると話す書店もあった。
しかし、RFIDの本領であるデータの分析が進むと、商品の展開方法など販売に直結する効果も見えてくる。今年2月に導入した丸善お茶の水店では、コミック売り場での面陳方法を改善することで、販売効率が良くなったという(8面に掲載)。
11月に新たな本のランキング「ブックチャート」の発表を始めたビルボードジャパンの礒﨑誠二氏は、当社のセミナーで、複合的なランキングから隠れた既刊の売れ筋を発見できると話した。
おそらく店頭では、鮮度を保つためどうしても新刊中心になるのだろう。しかし、それによって本当は需要があり続ける商品が流されてしまっているかもしれない。
商品が売れた時間や場所を詳細に記録できるRFIDと、店売、EC、電子、SNSなど多様な指標から作成するランキングは、書店店頭を変えるかもしれない。【星野渉】
