【出版時評】2025年11月11日付

2025年11月11日

ブックチャートの公開始まる

 

 ビルボードジャパンによる「ブックチャート」の公開が始まった。第6回「TOKYO RIGHTS MEETING」の中で同社がブックチャートによる市場開拓をテーマにしたセミナーを開いた日に合わせてのスタートだ。出版業界での活用に期待を寄せていることの表れだろう。


 このランキングは書店の店頭売上をはじめとして、オンライン通販、そして電子書籍のダウンロード数や図書館の貸し出し冊数までを集め、「何が売れているか」だけではなく、「何が読まれているのか」を明らかにする。


 同社の音楽チャートもそうした手法で作られてきた。そのことによって、音楽の流通がレコード・CD中心だった時代から、カラオケ、配信などに広がる中で、「何が聞かれているのか」の実態を示すことができた。それが、プロモーションに大金を投入したヒット曲だけではなく、ネット発の楽曲なども顕在化し、音楽業界の地殻変動を後押ししたという。
 出版業界でも、本の情報の伝わり方が多様化している。まだ見えていない需要をブックチャートが示してくれるかもしれない。来年には海外で何が売れているのかもわかるようになるというので、期待は高まる。とりあえずは、公開されたランキングを見てみよう。「昭和」「平成」発売のランキングなどは単純に面白い。【星野渉】