【出版時評】2024年5月28日付

2024年5月31日

小規模書店の閉店とコミック市場の変化

 

 兵庫県尼崎市の小林書店が今月末で閉店するという。小林由美子さんには何度かお話を伺ったが、10坪という小規模ながら、震災やご主人の病気などを乗り越え、傘の販売など様々な工夫で店を守り続ける姿は、多くの業界人に勇気を与えたと思う。

 閉店を知って惜しむ声や、来店客も多いようで、本紙の取材に応えた小林さんの「楽しかった」「生まれ変わってもまたお父さんと本屋をやりたい」という言葉はせめてもの救いだ。

 それにしても、書店の閉店が多い。そんな中で気になるのが、コミックスの売れ行き不振だ。

 出版科学研究所の数字を見ると、外出が制限された2020年、21年は巣籠需要で盛り返したように見えたが、22年は前年比16・0%減と過去に例を見ない落ち込み幅で、23年も8・3%のマイナスで、販売金額は1610億円と、コロナ前の19年の1665億円を下回った。

 コミックスを出す中小規模の出版社で、この間に電子版の比率が大きく伸びたという話をいくつか聞く。実は電子コミックは20年が31・9%増、21年が20・3%増と紙版以上に伸び、その後も成長が続いている。

 雑誌市場が縮小する中で中小書店にとって重要性が増してきたコミックスのデジタルシフトの進行は、書店の今後を考えるうえで懸念材料である。【星野渉】