【出版時評】店にも広がるセルフレジ

2023年2月21日

 最近はスーパーやアパレルなどの店舗で、セルフレジが当たり前になってきた。そういうコーナーで使い方がわからずに戸惑っている人の姿を見かけることも少なくなり、あえて対面ではないレジを選ぶお客もいるようだ。

 

 書店での導入も徐々に進んでいる。早い時期にレンタルで開始したTSUTAYAをはじめ、中部を中心に70店余を出す三洋堂書店や、直営店を230店舗ほど展開するくまざわ書店などが積極的だ。最近では地域チェーンでも導入の動きが本格化し始めている。

 

 セルフレジにすれば、レジの人員を減らすことができる。売り上げ減と経費高騰に悩む書店にとって、背に腹は代えられない選択でもある。一方で、セルフにすると接客の質が変わるという話も聞く。清算するお客の横に立つことで、むしろコミュニケーションが円滑になるというのだ。

 

 困るのは、万引き防止タグを清算時に外すことができない点だ。お客に外させるわけにもいかない。こうしたタグは主にコミックスで利用しているので、クラウドで管理するRFIDの普及に期待する書店経営者もいる。

 

 もう一つ、定期購読の声掛けをどうするか。当該誌を購入した人に次号の取り置きを勧めることができない。これは接客を工夫するしかない。こうした課題を乗り越えながら、書店店頭のDXも進めていかざるを得ないだろう。   

 

【星野渉】