【出版時評】書店議連に期待すること

2022年11月8日

 自由民主党議員による書店議連は名称を「街の本屋さんを元気にして、日本の文化を守る議員連盟」に変更。参加する議員は大幅に拡大し、来年5月に提言書をまとめる。事務局から示された要望には、ICタグ導入への補助やスタートアップ支援なども盛り込まれている。

 

 以前の名称は「書店経営者を支える議員連盟」だったが、個別業種の経営者を支えるというのでは広く支持を得られにくいため、文化政策として書店を支えるという方向性を明確にしたようだ。今年4月の総会時点で42名だった参加議員数は、11月2日の総会時で145人に増えた。

 

 提言のとりまとめに向けて11月と12月に総会を開き検討をするというが、今回の総会で示された書店事務局の「要望」には、ICタグ導入に向けた「国の補助によるDXモデル事業の創設」や、書店の「店舗運営に必要な固定費補助や新規出店の助成制度」、「書店・出版系スタートアップへの助成」などが盛り込まれた。

 

 国の政策とする以上、一業界を支えるだけの施策というわけにはいかない。また、新規参入を支援することで、イノベーションをおこし、新たな魅力を発揮する書店の登場を促すといった取り組みも重要になる。既存事業者でも新規参入であっても、前向きな書店を支え、人々と本との出合いを豊かにする。そんな施策であってほしい。

【星野渉】