【行雲流水】文化通信2022年7月26日付

2022年7月26日

 某月某日


 新社長を伴い三年ぶりの名古屋へ赴く。中日新聞社の真能秀久常務、吉田裕人取締役販売担当、ほかに挨拶。「かつては大衆に読まれる=売れる紙面づくりをしてきたが、いつしか『それは週刊誌やワイドショーでやること』と自ら線を引いてしまった。CDを買うと歌手に握手してもらえるというのも、古くは新聞社がはじめたことだった」と真能常務。原点に還るべしということか。販売店をガッチリ束ねる吉田取締役とともに、全国第3位、全国紙並みの発行部数を誇る同紙を支えている。
 同社が県とスタジオジブリと協働して企画してきた「ジブリパーク」が今秋、24年には中日ビルが装いを新たに開業する。名古屋がアツくなる…が、この日も暑い。星野と駅地下「菊正酒房 珍串」でクールダウンし、車内で爆睡。


 某月某日

 

 『味の手帖』巻頭の「茂木友三郎対談」でゲストの伊藤公平慶應義塾長とランチ。身長189㎝の長身、理工学部時代には庭球部でインカレのベスト32まで進んだスポーツマンである。卒業後はカリフォルニア大学バークレー校で材料科学の修士・博士号を取得。帰国後慶應義塾で教鞭を執り、昨年塾長に就任した。伊藤忠商事を創業した伊藤忠兵衛から数えて5代目(「来孫」と言うらしい)のサラブレッドでもある。
 塾長として、慶應義塾の目的である「全社会の先導者たらんことを欲するものなり」と、早速学生たちと「皆で考える」ことを実践。10学部から選抜した60名とランダムに抽出した新入生60名と職員がSDGsをテーマに毎週議論している。取りまとめた提言は来春伊藤塾長へ提出されるという。
 休日には愛犬と散歩し思考整理する、55歳の若き塾長である。


 某月某日

 

 年一度の「全社会」のあと、友人でモランボンのジョン・ピョンヨリ会長が展開する「KOREAN IZAKAYA ジャン」で暑気払い。韓国でも廃れてしまった居酒屋料理を真鍮の大やかんにたっぷり入ったマッコリで楽しむ。
 白菜の葉を卵につけて1枚ずつ丁寧に焼き上げた「白菜のジョン」、「チェユッ」はゆで豚、「チャルラ」は牛すじやハチノスをチョジャン(辛味噌)やアミの塩辛で食べる。締めは「トゥルチギ」。たっぷりの野菜と牛すじやホルモンを特製コチュジャンでぐつぐつと煮焼きし、最後はご飯を投入、肉と内臓のエキスをたっぷり味わう。