【つぶや記】文化通信2022年7月5日付

2022年7月5日

 3月の本欄で「そろそろ鶯の声も聞かれる頃合いか」と書いた翌日、ホケキョの声が。家の近くに住みついたのか、毎朝、優しい声で仕事に送り出してくれる。当初はさえずりにぎこちなさもあったが、日々鳴き方のスキルが向上し、「ウグイスの谷渡り」といわれる警戒音など様々なバリエーションを楽しませてくれる。

 

 通勤で使うバス停手前にはツバメの巣があり、ひなの声にほおが緩む。キビタキの高い鳴き声に足を止め、夕刻は水が張られた田んぼから牛蛙のダミ声が聞こえ始めた。まもなく小暑を迎える。

 

 春の梅や桜、夏のアジサイや朝顔、秋のコスモス、彼岸花、冬の椿、水仙ほか、年齢を重ねるごとに花の移ろいで四季を感じるようになってきたが、今年は自然が奏でる音とともに季節がやって来るのを感じている。梅雨が明ければ蝉時雨が始まる。ただ、季節に関わらず、仕事で聞きたくない声は聞こえてこなくていいのだが。

 

【櫻井俊宏】