【出版時評】「連携」がこれからのインフラ整備

2022年4月26日

 コミックを中心とした電子書籍が出版市場の4割に迫るなど、出版コンテンツのデジタル化は急速に進む。そして、コロナ禍でオンライン会議システムの利用などが一般化し、仕事のDXも進んでいる。そんな中、出版の流通・営業のDXはどの程度進んでいるのか。

 

 日本出版インフラセンターの「出版情報登録センター(JPRO)」は、ほぼ新刊を網羅するほどの登録数になっている。また、出版社が書店から注文を受ける受発注サイトも複数開設され、販促用のゲラを提供するネットギャリーもある。小規模出版社の団体「版元ドットコム」のサイトではきめ細かい注文用の情報が掲載される。

 

 このような業界団体や企業などの個別の取り組みが、業界全体のDXを進めていくのだろうが、これからはどう連携していくのかがポイントになると思う。かつて取次がシステム化を進め、業界有志が出版VANや共有書店マスタを立ち上げ、書店や出版社がPOSデータの提供・収集を始めたことが、その後連携して効率化を実現したように。

 

 今は各システムがオンラインでAPIによる連携もできる時代だ。それぞれが開発・運営するシステムを結び付ければ、利用価値が高まるだろう。誰かが一人で頑張るのではなく、その連携こそが整備すべきインフラなのであろう。

 

【星野】