【出版時評】「公共性」が求められるロビー活動

2022年4月19日

 「全国の書店経営者を支える議員連盟」の総会が開かれた。今回から業界側の事務局を出版文化産業振興財団(JPIC)と日本書店商業組合連合会が担うことになり、総会にはJPICの役員を務める主要出版社の代表も参加した。

 

 議連発足から、書店側の窓口は一民間企業にも関わらずリライアブルが担ってきたが、書店が関わる業界団体が担当するのは当然であろう。また、議連の会合でこれほど多くの日本を代表する出版社を見かけたのも初めてだ。そういう意味で、広く業界の総意をくみ上げやすい体制になったといえる。

 

 ロビー活動を成功させるためには、業界全体の声として発信する必要がある。強力なロビーで知られるドイツ図書流通連盟の前会長も、「(政府との)交渉において業界三者がまとまって業界が一つの声になることが重要」と話していた。ただし、業界のエゴと受け取られてしまったら通らない。国の政策として進めるためには、それが多くの人々のためになる「公共性」が必要であろう。

 

 総会の最後に幹事長の齋藤健議員が、議連の名称から「経営者」を外してはどうかと提案したが、これも書店経営という個別企業の問題解決のためというニュアンスをなくしたほうが良いということだろう。この取り組みが何を生み出すのか注目したい。   

 

【星野】