【行雲流水】文化通信2022年4月12日付

2022年4月12日

 某月某日

 眼鏡やレンズの企画開発から製造、販売まで、その店舗網は国内450、海外を含めると660店にも及ぶ「JINS」を運営するジンズホールディングス・田中仁社長を訪ねる。活字文化とメガネは不即不離の関係と考えた次第。

 群馬県前橋市出身の田中社長、当時地価が全国の県庁所在地中最下位だった故郷に光を!と「田中仁財団」を立ち上げ、300年の歴史ある老舗旅館の再生を手がけたほか、上毛新聞社と「群馬イノベーションアワード」を共催するなど、精力的に活動している。

 また、上毛新聞を退職した元編集局長が昨年夏に創刊した季刊「前橋新聞︱MEBUKU」もバックアップしている。12万5千部発行し前橋市の全世帯と小中学校の全児童・生徒にも配布。「若者が読みたくなる新聞にしたい」と、デザインに力を入れた。地方紙や地域紙にとって示唆に富むこの取り組み、改めて話を伺いたい。

 

 某月某日

 小社、新年度のスタートである。サラリーマン生活を卒業し4年。20名足らずの社員が将来に不安を感じぬレベルには到達するも「明るい未来」の画策は道半ば。業界専門紙の発行だけでは24年後の100周年は迎えられない。

 情報提供のデジタル化と活字文化の活性化に資する多角的な取り組みは試行錯誤の日々が続く。

 「本を贈る新しいカタチ」として発行した「ほんのきもちです2022」と、「こどものための100冊」カタログのさらなる認知促進に注力する一方、夏ごろには出版業界に向けた新たなソリューション・サービスをスタートさせる。また、紙面編集ではいくつかの新連載で活性化を図るべく準備を進めている。増田朋編集長に代わり、「乞うご期待!」。

 

 某月某日

 先月末からBS放送に新しく開設された「BS松竹東急」(260ch)が面白い。映画や歌舞伎や演劇など、松竹が持つコンテンツやオリジナル番組がすべて無料で観られるのは魅力的だ。

 早速、録画予約したのは、三週連続で放映される「コクーン歌舞伎」の「東海道四谷怪談 北番」「三人吉三」「佐倉義民傳」。そして小学生時代、白黒ブラウン管テレビに観る豊かな国・アメリカの生活と、奇想天外な演出に魅せられた「奥さまは魔女」。カラー映像で再会したサマンサとダーリン、サマンサの母・エンドラ、ラリー、吹き替えの声もそのままに懐かしい。

 

【文化通信社 社長 山口】