【つぶや記】文化通信2022年4月5日付

2022年4月5日

 難しい本を読んでも、有識者の論評を聞いても理解するのに時間を要する。「若い頃もっと本を読んでいれば…」、「もっと勉強していれば…」。よくある中高年の嘆き。

 

 スポーツ観戦は知性の高低に関係なく楽しめるはずだが、昨今怪しくなってきた。選手コメントに、読解力の乏しい凡人はついていけない。「苦悩には前進したい思いがあり、乗り越えられる可能性がある人にしか訪れない」by イチロー氏。「壁を乗り越えるのは簡単。乗り越えられそうにない壁が現れたら壁にドアを付ける」by 羽生結弦選手。哲学も詩も大学時代にかじったが、難問だ。

 

 方や大谷翔平選手、藤井聡太棋士、鍵山優真フィギュアスケート選手らの見る人に感動を与えるプレイスタイルとは対極の簡潔明瞭なコメントは不勉強オヤジでも共感できる。まだまだビッグになる彼ら。その「飾らない人柄」、「凡人にも理解できる言葉」を続けてほしいと切に願う。

【堀雅視】