【行雲流水】文化通信2022年3月29日付

2022年3月29日

 某月某日

 『「第9回全音楽界による音楽会」3.11チャリティーコンサート』に寄付参加のためサントリーホールへ。題名の通り、発起人の一人、三枝成彰さんの声がけで多彩なゲストがボランティアで登場する。谷村新司に始まり加藤登紀子、南こうせつ、坂本冬美、小林幸子といった懐かしい面々が歌う合間に、川井郁子や服部百音らがヴァイオリンを、横山幸雄などがピアノを奏でる。トリを飾る五木ひろしまで総勢24名に有志のオーケストラメンバーも加わる。司会進行の露木茂、永井美奈子を含め、震災で親を亡くした子どもたちの夢を叶えるために集う。

 終盤、ウクライナの作曲家M・スコリクの曲「メロディー」を奏でる大谷康子さんのヴァイオリンの音が胸に迫る。ポツダム宣言受諾後も我が国を侵略し続けた国の不埒な独裁者が再び隣国を蹂躙している。ゴルゴ13よ、何処に!?

 

 某月某日

 母、95歳の誕生日を加賀料理の料亭、赤坂「浅田」の弁当をテイクアウトし親子3人で祝う。筍旨煮、鯛笹寿司、南瓜旨煮、鯛真子時雨煮、菜の花、春菜のお浸し、飯蛸桜煮、酢取り茗荷などなど20種以上の春の旬味が美しく盛り込まれ楽しませる、5500円。

 忌々しいコロナ禍ではあるが、普段敷居の高いレストランや料亭の味を自宅で手軽に楽しめようになったのは嬉しい。特に、一度にたくさん食べられなくなる80歳以上、和田秀樹さん的に言えば「スーパーオールドオールド」にとってはなおさら有難いことだ。

 

 某月某日

 育児中の著名人が薦める"子どもと読みたい本"を収録した「こどものための100冊」を下版する。昨年に続き今年も大手保育園と赤ちゃん本舗の協力で10万部、書店店頭などでの配布を合わせ合計15万部以上発行する予定。

 新たな選者として、柔道の井上康生さんや「オグシオ」の潮田玲子さん、ヴァイオリニストの宮本笑里さん、エビちゃんこと蛯原友里さん、中越典子さんや笛木優子さん、三倉佳奈・茉奈さんなどが加わり一段と華やかになった。

 昨年齋藤孝さんにお願いした巻頭言、今年は谷川俊太郎さんを南阿佐个谷の事務所兼自宅に訪ねてメッセージをいただいた。「大人の中にある幼児性をクリエイティブな要素として大事にしてほしい」、「子どもが小さい頃は、本を通して親子の感情の交流を」。御年90歳。素敵なSOOだった。

【文化通信社 社長 山口】