【出版時評】出版業界で生き残るFAX

2022年3月22日

 出版社が書店に向けて発信する販促情報は、いまでもFAXが多い。日々用紙とトナーやインクを使って大量に送られている。出版社や書店をはじめ、ほぼすべての人がスマートフォンを持ち、メールやラインなどで情報をやり取りしている時代にである。

 

 多く送っている出版社は、1社で1カ月に50枚を超えるところもある。平均3000書店に送っていたら、A4用紙15万枚である。

 

 一斉送信サービスを使えば、一度の作業で多くの書店に送ることができる(多量に送っても痛痒感はほとんどない?)。紙で出力されれば目に入る可能性が高い。冊数を書き込み、番線印を押せばすぐに返送できる。メールアドレスの管理は難しい。などの理由があるのだろうが、以前から大量のFAXにいらだつ書店も多かった。

 

 データで蓄積して必要なものだけ出力したり、そもそも出版社に送らないよう求める書店もあるようだが、やはり情報は必要なので、何とか改善したいと考えている書店関係者が多い。

 

 ネットのニュースを見ていると、10代の若者の4人に1人はFAXを使った経験がないという。出版社で新入社員から「FAXって何ですか?」と聞かれたという笑えない話も聞いた。

 

 SDGsの観点から多量の返品が問題視されるが、販促FAXにもその観点が必要なのかもしれない。

【星野】