【出版時評】「コロナ3年目」の年始め

2022年1月18日

 昨年末から年始にかけてある程度収まっていた感染者数が、ここにきて一気に増加し始めた。「オミクロン」と呼ばれる変異株の感染力はこれまでより相当強いようで、すでに感染者の8割以上がこの変異株だという報道もあった。

 

 いよいよ始まった第6波の勢いは、他国の状況をみても、これまでの最多感染者数をすぐにも上回りそうだ。一方で経済の停滞を招かないため、社会活動を止めないという政府の姿勢も垣間見えるが、周りではすでに会合の取りやめや延期などが始まった。

 

 この2年間の書店市場は、緊急事態宣言で一気に在宅が進んだ2020年は巣ごもり需要で郊外型単独店や街場の中小書店の売り上げが良く、昨年はGIGAスクール構想推進の影響などで、タブレット端末や電子書籍の納入が増え、大手書店の外商が良かったなど、感染症に翻弄されている。

 

 果たして3年目の今年はどうなるのか。大手取次が発表した年末年始書店売り上げ動向から明らかな傾向を読み取ることはできないが、毎年新しい状況を経験するという流れは変わっていない。人々がこの流れに乗ることに疲れてしまい、行動や思考が停滞してしまうことが一番怖い。

 

 気が早いが、今年年末の紙面で、重大ニュースのトップに「コロナ」の文字を書かずに済むことを願わずにはいられない。    

 

 【星野渉】