【出版時評】小規模書店の時代が来る?

2021年6月14日

 TSUTAYAのBOOK方針発表会で、今後TSUTAYAが目指す姿のひとつとして、英国の書店チェーン「ウォーターストーンズ」があげられた。

 

 「ウォーターストーンズ」は300店舗近くを有する同国最大のチェーンだが、経営危機に陥っていたところを、店舗の「独立系書店化」によって2015年に復活したことが大きなニュースになった。

 

 このときのジェイムズ・ドーントCEOは、その後、やはり経営危機が続いているアメリカの最大手書店バーンズ&ノーブル(B&N)のCEOに就任し建て直しに取り組んでいる。

 

 「独立系書店化」とは、店舗をチェーンオペレーションで画一的にするのではなく、地域に合わせた店作りにするということだ。店舗は「独立系書店化」して、仕入ではチェーンの力を発揮する戦略のようだ。

 

 ドーント氏はB&Nで昨年、ニューヨークの大型店舗を閉店したとき、より小規模な立地に移ると表明した。ここでも「独立系書店化」を進めようとしているのだろう。

 

 説明会でTSUTAYAは人口2万人の街でも成立する地域密着型の小型店舗を増やしていくと表明した。三洋堂ホールディングスも小型店「スマ本屋」の展開を発表した。それぞれコンセプトは違うが、日本でも小規模書店の時代が来るのだろうか。

【星野渉】