【つぶや記】文化通信2021年4月5日付

2021年4月5日

 関西で悲痛な事件の裁判が結審した。滋賀で、母親が娘に医者になることを強要し、9年間の浪人生活の末、母を殺害。全国的に注目された「教育虐待」事件。世論は加害者擁護一色で、教育評論家らも「子どもの夢を奪ってはいけない」など美辞麗句が並ぶ。

 

 将来なりたい職業ランキング上位の動画配信者においても親は応援しなければいけない時代になった。殺されるよりはよい。「グローバル時代」と叫ばれれば英会話塾が、「IT社会」と言われるとプログラミング教室が急増した。次は再生数アップの極意を学ぶ動画配信養成所や専門学校が出現し、各家庭は「YouTube塾」の月謝に追われる日々が訪れる。

 

 20 年前、「そろばんと水泳だけ習わせておけば大丈夫」と耳にし、その通りに従ったが、わが子は現代社会に通用しているだろうか。子育て、教育の正解、不正解の難しさを滋賀の事件で改めて認識させられた。

【堀】