【出版時評】年末年始も“巣ごもり”の予感

2020年12月7日

 12月に入ったが、あまり"年末"という雰囲気がないように感じる。朝晩の寒さは例年通りに訪れるが、いつもならば12月に入ると盛り上げ始めるクリスマスや年末商戦の声がそれほど聞こえてこない。こと人間の活動はコロナ禍が続いて年末感が出てこない。

 

 アメリカは11月最終週の感謝祭からクリスマスシーズンが始まり、このところは毎年、最後の木曜深夜から金曜早朝に、人々がショッピングセンターに殺到する「ブラックフライデー」のお祭り騒ぎが報じられていたが、今年はとんと聞こえてこない。日本でも大手ショッピングセンターなどが昨年あたりからこのイベントのアピールを本格化させてきたが、こちらも同様に静かだった。

 

 年間売り上げの半分ぐらいをクリスマスシーズンが占める欧米ほどではないにしても、日本も年末商戦は大きな商機だ。もし感染状況がさらに悪化して、今春のような外出自粛となれば、街には段ボール箱を運ぶトラックや、大きな荷物を担いだ自転車ばかりが目立ち、実店舗への悪影響は大きくなるだろう。

 

 「NHK紅白歌合戦」も無観客、いつも多くの人出がある初詣はどうなるのか。年明けの業界新年会はほぼ中止が発表されている。長い連休も重なり、"巣ごもり"の年末年始を迎えるのか。それに向けて、書店に行けるうちに本でも買い込んでおこうかと思う。

 

【星野】