【出版時評】他人事ではないアメリカ巨大出版社の統合

2020年11月30日

 アメリカで大手出版社ペンギン・ランダムハウスが、やはり大手のサイモン&シュスターを買収する。出版企業の集中化やグローバル化が進みつつある日本でも、もはや他人事ではないかもしれない。

 

 ペンギン・ランダムハウスはアメリカのビッグ5と言われる大手出版社の筆頭、世界最大の書籍出版社である。そして、傘下に多くの出版レーベルを持つインプリントの代表でもある。一方のサイモン&シュスターもビッグ5の一角を占める。

 

 2013年にランダムハウスとペンギン・ブックスが合併したときも驚かされた。そもそもランダムハウスは独ベルテルスマン、ペンギンは英ピアソン、そしてサイモン&シュスターは米バイアコムCBSというメディアコングロマリットの傘下であり、親会社の戦略転換で離合集散を繰り返している。

 

 これに比べると、日本では出版社、書店ともに、今のところ独立系企業が圧倒的に多い。しかし、書店は取次系列や経営統合などが進み、以前に比べるとかなり集中度が高くなったし、出版社にもその傾向が見え始めている。

 

 かつて講談社はランダムハウスと合弁で日本に出版社を設立し、米国法人は流通などを同社に委託している。小学館グループの米国法人は、サイモン&シュスターに流通などを委託している。海外展開を強める出版社にとっては、身近な話題である。

【星野】