【出版時評】今年も〝読書の秋〟に

2020年10月5日

 朝が急に涼しくなってきたと思ったら10月である。書店店頭では少し前から日記・手帳コーナーの展開が始まっており、このような状況下であっても、季節の移り変わりに合わせた風景に少しほっとしたりする。

 

 しかし、今年は毎年多くの本好きを集める「神保町ブックフェスティバル」も中止である。年初に開かれる新年会も既に中止を決めているところが出てきているようだ。コロナ禍による企業活動や人々の生活への影響は当面続くとみられるが、少なくとも越年は避けられない状況だ。

 

 その一方で、オンラインでのイベントはますます増えている。日本出版販売は多くの取引先書店や出版社を招いて施策を発表している「NIPPAN CONFERENCE」を近くオンライン視聴で実施する。また、「神保町ブックフェスティバル」に合わせて開いてきたNPO法人本の学校「出版産業シンポジウム」も11月初めにオンラインで開催する。

 

 出版市場の動きも、4月は大きく落ち込んだが、5、6月はむしろ返品が減ってプラスに転じ、7月はその反動か返品が増えて書籍はマイナスになるなど、振れ幅が大きくて、コミックスの好調以外は実態がつかみにくい。地域書店への来店客は増えていたが、果たして人々の出版物とのつきあい方はどのように変わっているのか。読書の秋に改めて気になる。

【星野】