【出版時評】各地の商談会が中止に

2020年7月27日

 「書店大商談会」と「BOOKEXPO」の中止が発表された。10年ほど広がってきた各地での書店商談会も、今年はコロナ禍によってほぼ中止となる。書店関係者が出版社と顔を合わせて商品を吟味する場がなくなるのは残念であるが、商談会のあり方を考える機会かもしれない。

 

 いまの形の書店商談会は、中小規模の書店が、普段なかなか接する機会がない出版社と直接コミュニケーションをとって、新企画などの情報を得る場として、書店関係者が主導してまず東京でスタートした。その後、すぐに関西で「BOOKEXPO」がはじまり、九州、北海道、中部、そして各地取次書店会などに広がった。

 

 以前から感謝会や取次書店会など、書店と出版社による会合は多かったが、商談会は商材や取引の話をする実務的な場として設定された。始まった時期は、中堅取次の経営破綻などが始まる前だったが、雑誌市場の縮小による取次システムの限界が明らかになってきており、これまで取次任せにしてきた商品調達に、書店がもっと積極的に関わろうとする動きだった。

 

 そういう意味で、これから商談会の役割はさらに大きくなる。ただ、これほどまでに各地で多くの商談会が必要なのかなど、オンライン商談会も企画される中で、書店や出版社にとってより望ましい形を探ってもらいたい。

【星野渉】