【出版時評】書店経営の流れを変えてほしい

2020年6月22日

 アルメディアによる日本の書店数は1万1024店になった。このうち店舗面積ゼロの本部や営業所などを除くと、前年の1万174店から412店減少して9762店と1万店を割り込んだ。

 

 総売場面積は3万8570坪減って122万2302坪。単純に減った面積に大手取次調査による1坪あたりの在庫金額50~60万円を掛けると、200億円以上の売場が消えたことになる。同調査で総面積142万坪と最大だった2009年と比べると20万坪以上の減で、在庫1100億円以上に相当する。

 

 これだけ本の売場が減っていることに対して、危機感を持たない出版業界人はいないと思う。オンラインで本を購入したり、電子書籍が普及してきているとはいえ、本と人々が出会う接点としての書店の重要性は変わらない。そのことは、コロナ下にも関わらず、多くの人が書店を訪れたことからも実感する。

 

 どうやって書店の減少を食い止めるのか。まずは商売である以上、書店自身がより魅力的な空間になるため努力することが第一だ。しかし、努力以前に、書店が書籍を販売しても経営を支えるだけの利益を確保できない現実がある。

 

 大手取次による出版流通改革、ポプラ社の「低返品高利幅施策」など、本格的に構造を変えようとする取り組みが始まっているが、それらが早く流れを変えてくれることに期待したい。

【星野】