【出版時評】大学もオンライン授業に

2020年5月25日

 大学も連休明けからようやく授業がスタートしたが、対面による講義は行われていない。資料を配付して課題を課す方法から、録画した講義を生徒が見る形、そして今やスタンダードになってきたZoomなどによるリアルタイムのオンライン授業も行われている。

 

 こうなると、大学も教員も初めてのことづくし。特に比較的年配の教員にとって、リアルタイム授業などはハードルが高そうだ。一方、学生側は慣れたもので、楽々と壁を越えてくる。チャット機能で通常の授業より気軽に質問が寄せられたりして、教員側がタジタジとなる。

 

 そんな大学で、出版関連の講義を受けている学生から、外出自粛や小売店の休業などでオンライン書店や電子書籍の利用が増えて、書店の経営が厳しくなるのではないかという懸念の声がいくつか寄せられた。

 

 そういう声には、業界全体で休業している書店も多く、そうした書店は大きく売り上げが減少している一方で、営業を継続している書店には多くの人が来店し、本が売れていると伝えているが、20代前後の若者がそういうことを気にかけていることに軽い驚きを覚える。

 

 わざわざそういう授業をとる学生だからと言えばそれまでだが、来年以降の採用シーズンには、こうした学生たちが出版業界の門をたたくことを願いたい。

 

【星野渉】