【出版時評】首都圏に集中する出版業界は大丈夫か?

2020年3月30日

 いよいよオリンピックの延期も決まり、小池百合子都知事が「感染爆発」への警戒を呼びかける事態に至った。出版業界でも大手出版社の小学館が感染者を発表。我々の周辺でも会合が相次ぎ中止となり、オンラインでの記者発表が行われ、取材のアポイントもメール等での対応を求められるようになっている。

 

 小池知事は「首都封鎖」の可能性にも言及しているが、9年前の震災時を思い出す。あのときは地震で交通網が寸断され、首都圏で計画停電が実施されたことで、生産や物流の拠点が東京周辺に集中している出版業界は大きな影響を受けた。

 

 その後、災害時を想定した対策が練られていたようだが、今回の感染拡大は終息の時期も、今後の推移も見通すことができない全く初めての経験となる。果たして出版業界は対応できるだろうかと、不安になる。

 

 一方で、多くが休館となっていた公共図書館は、文部科学省からの要請もあって貸出業務を再開するところが多い。そうした図書館では通常より多くの貸し出し利用があり、また、これまで普及が進まなかった電子図書館の利用も大幅に増えているという。、書籍を消毒する機器への引き合いが多いという話もある。

 

 当欄も毎週のようにこの話題に触れているが、これほど同じ話題が続くのはこれまでで初めて。それほど例を見ない事態だ。

【星野】