【つぶや記】文化通信2020年2月17日付

2020年2月17日

 国際子ども図書館の展示「絵本に見るアートの100年」を訪れた。展示より建物に会う目的であったが、思わぬ遠い昔へ翼を広げることとなる。

 

 各国の絵本の中、目に留まったのは『ホシコ:星を持つ馬』(童心社06年)。一人の少年と、美しい馬が戦争に翻弄されるお話。早川重章の絵は、鋭い線と独自の色で、美しさと怖さを表現し他を圧倒。楽しい時のなか、本と図書館の香りのためか、中学一年生、自称文学少女時代の事件を思い出した。国語教師が、ある女子生徒に「最近、何か読んだ?」彼女「人間失格を読みました」それは!子供が読んで良い本ですか。文学少女終了。

 

 その後文学の世界から、美術や音楽へと心が移る。いま考えれば人生の分岐点であった。今も紙の感触を確認し、文字の世界へと誘われるが、いまだ『人間失格』は開かれていない。

【田中良子】

 


 

 上京してから17 年で、15 回の転居をした。1カ月程度の仮住まいをカウントすれば20回を超える。なぜだか一所に落ち着けず、しばらくすると旅に呼ばれてしまうのだ。気楽な独身時代を終えてもそれは変わらず、むしろ結婚後は頻度が上昇した。

 

 一時は、大きなスーツケースに家財を詰め、都内近郊を多拠点移動生活する住所不定のジプシー夫婦であった。最近になってアドレスホッパーや多拠点居住が注目を集めており、ようやく時代が追い付いてきたようである。

 

 さて、ここ1年ほど大人しくしていたら、そろそろ次の旅が手招きしている。ということで、まずは新たな拠点へと引っ越し!人生は旅、旅こそが人生。次の街では、何が起こるのか?何をすることになるのか?人生はわからないからこそ面白い。

【須藤峻】