【つぶや記】文化通信2019年11月11日付

2019年11月11日

 敬愛する19世紀を代表する作曲家、ロベルト・シューマンはピアニストを目指すも指の障害により作曲家に転じた。ドイツロマン派らしい美しさの内側には、隠された動機や洞察が細かく見て取れ、一筋縄ではいかない。彼は愛と制作に心身を病み、ライン川に身を投じる。一命をとりとめるも最後は精神病院で死を迎える。

 

 小説「シューマンの指」はシューマンの狂気と美しさが筆者に乗り移ったミステリーであった。端々に彼の曲が紐づき、文字と音楽に翻弄された。最近クラシック音楽を題材にした書籍が多い。

 

 お茶の水丸善では音楽と美術に特化した平台を展開してくれた。リーフレットは「お茶丸音楽会、美術館」と題され、もちろん『シューマンの指』奥泉光著(講談社文庫)はセレクトされていた。また彼に会いに行こう。

(田中)

 


 

 この40 年、新聞読まない、雑誌読まない。テレビは見ないが、インターネットは少々。流行も知らないし知りたくもない、時代遅れと言われても、全く構わんと言う70 歳の現役プロダクトデザイナーの先輩。頑なに生き方を変えてない立派な方だ。

 

 彼の口癖はいつも「よく聞けよ。俺はな、開発したデザインをエイジングさせるんだ。円熟させていくんだよ。だから2 ~ 3 年してから世に出すんだ」と…数年振りに再会した真夏にまだ言ってた。

 

 ウーン…改めて真意を聞いたら、完成したデザインは時間が経っても、斬新か、使いやすいか、カッコイイか。じっくり腰を据え見届ける必要がある。ということらしい。これって情報を遮断することと関係あるのかなあ。りっぱな覚悟だと思うが…「なに?円熟って」と別れ際にまたつぶやいた。

(岩元)