【出版時評】新年の抱負

2019年1月14日

東京では、日教販を除く取次各社が新年の会合を取りやめ、年始の会合が少なくなった。以前、この業界は会合が多すぎると、やや冷淡に見ていた身としては本望とも言えるのだが、やはり何かさみしい。特に、恒例とは言え、業界各トップの年始の抱負を聞くことが少ないのが、少々物足りない気がする。

 

アメリカ書店組合のCEOが、新年に組合員向けにウェブサイトに掲載したレターによると、昨年は他のチャネルが停滞するなか、独立系書店は伸びたという。

 

特に、書店組合が提供する「インディーコマース」というeコマースを利用している書店では、このサービスを通した売り上げが前年比10%以上伸びたという。こんな前向きな新年あいさつを聞きたいものだ。

 

今年から来年にかけては大きなイベントが続く。春には天皇の譲位と改元、そして秋には消費税率の引き上げが待っている。来年は56年ぶりとなる東京オリンピックである。

 

こうした出来事が、出版業界にどのような影響を及ぼすのか、メリットデメリットをすべて予測はできないが、世の中が動く時は、たとえそれがマイナスに見えても、対応次第でメディアにとってはチャンスにもなり得る。容易ではないが、なんとか、各企業や人々が、それぞれ良い方向に持って行けることを期待したい。

(星野渉)