【出版時評】大手小売が仕入方法を転換

2019年6月24日

TSUTAYAが出版社に対して返品枠を設けた買い切り仕入れを提案している。新刊から追加まで、全商品を対象にしているという。これまでも、インセンティブとペナルティーを使った取り組みや、一部の商品についての買い切り提案などはあったが、いよいよ本格的に仕入方法を転換させようという動きだ。

 

この提案の折にも「ドイツモデル」が示された。ドイツの書籍取引は「買い切り」ではないが、書店がすべてを発注して仕入れるため、各書店の返品率は10%前後に収まっている。小売側が起点になる供給体制が、日本でも広がっていくのだろう。

 

カルチュア・コンビニエンス・クラブが日本出版販売と合弁でTSUTAYA専用の流通会社MPDを設立した時、増田宗昭社長は出版物について小売側の粗利益率を増やす必要性を強調し、書籍の書店入正味を72・5%に下げることを求めた。

 

以来、様々な施策でこの水準を目指したが、現状はそこまで下がっていないだろう。その間に、アマゾンや紀伊國屋書店などが直接取引による大幅な粗利益率改善を一部で実現し、大手総合取次が「ドイツモデル」を標榜するまでに時代は変化した。

 

ドイツやアメリカでは、大手小売がバイイングパワーを発揮して良い条件を獲得する。日本でもますます書店の大小格差が際立つだろうか。

(星野渉)