
文化通信社は1月28日、全国の市町村単位を発行エリアとする地域紙の優れた記事とそれを書いた記者らを表彰する第5回「ふるさと新聞アワード」の贈呈式と懇親会を、東京・台東区の東天紅上野本店で開催した。最優秀賞を受賞した東濃新報社(岐阜県多治見市)をはじめ、優秀賞3社、準優秀賞10社、特別賞2社にそれぞれ記念の盾と賞金を贈った。

受賞の地域紙16社に贈賞
同アワードは、文化通信社が2021年から毎年開催している国内唯一の地域紙のための賞。贈呈式には受賞した地域紙、審査員、有識者専門委員、協賛している味の手帖、伊藤園、PR TIMESの関係者が出席した。
冒頭、文化通信社・山口健代表取締役があいさつ。続いて、同社・星野渉社長が準優秀賞、優秀賞の各社に贈賞。最優秀賞は山口代表が贈賞した。有識者専門委員会の評価が最も高かった特別賞は、同委員を務めた元日本新聞協会・出版広報部長で、元マスコミ倫理懇談会・理事事務局長の仙石伸也氏が贈った。
受賞者らとの記念撮影に引き続き、着席の懇親会を開催した。有識者専門委員の日本大学・塚本晴二朗教授による乾杯の発声のあと、ランチをとりながら、受賞者や審査員らのあいさつに耳を傾けたり、全国から集まった出席者同士で懇親を深めた。
審査員を務めた小山薫堂氏(放送作家・脚本家)、高橋俊宏氏(ディスカバー・ジャパン代表取締役)がビデオメッセージで地域紙の重要性などを強調。ウェルカムグループの横川正紀代表も「これからも、全国紙ではできない地域紙ならではの自由度を生かしたリアルな記事や、楽しい記事をたくさん発信してほしい」とのメッセージを寄せた。

加来耕三氏
来場した加来耕三氏(歴史家・作家)は「今回も最終審査のために読んだ記事は、どれも秀逸で選ぶのが大変だった。AIが発達すればするほど、地域の人たちの生の声を聞き、記事にしている地域紙の存在価値はより高まることだろう」とエールを送った。

山崎まゆみ氏
山崎まゆみ氏(温泉エッセイスト)も「地域紙の記事を読むのは、いつも楽しい。それは記者と地域の方たちとの距離がとても近く、リアルな会話が聞こえてきそうな記事が多いからだ。今後も地域紙の皆さんの活躍を願っている」と語った。

ビデオメッセージで最優秀賞受賞の喜びなどを語る東濃新報社・野村社長
最優秀賞は「東濃新報」の連載「昭和100年 紙面と時代と東濃と」が選ばれた。東濃新報社の野村理華子社長はビデオメッセージで、「私たちの会社は新聞発行業を生業としているが、『地域新聞業』であるとともに『地域業』であることを常に意識している。地域の元気、地域の新たな発見につながるような取材活動、紙面づくりをこれからも続けたい」と喜びを語った。

PR TIMESの高田氏(右)と山嵜一夫顧問
第2回のアワードから協賛しているPR TIMESの高田育昌パートナービジネス開発室長もあいさつ。「地元の声や情報を足で稼いで記事にしている地域紙の記者の仕事は尊いもので、生成AIが発達しても、その価値は損なわれることはないだろう」と語ったうえで、「私たちは地域紙の皆さんをパートナーだと思っている。一緒になって地域を元気にして、地域で挑戦する方たちを一緒に応援していきたい」と強調した。
最後に、来賓の日本地域紙協議会・山下至会長(夕刊三重新聞社社長)があいさつ。全国にたくさんの地域紙が存在していることの重要性について、あらためて訴えた。
「ふるさと新聞アワード」5年間のあゆみ
2021年に創設した「ふるさと新聞アワード」は、全国の地域紙が積み重ねてきた報道の価値を顕彰する場として、2025年度で第5回を迎えた。市町村単位を主な発行エリアとする地域紙を対象にした国内唯一の賞であり、5年間にわたり選ばれてきた各紙の記事は、地域ジャーナリズムの現在地を映し出すとともに、全国に100以上ある地域紙の存在価値を示している。
災害の記録、人口減少や地域経済の課題、歴史や文化の継承、地域に生きる人々の姿―。共通しているのは、地域に深く根差した視点と、時間をかけて積み重ねられた取材だ。
より多くの地域紙の記事を対象にするため、第4回から審査方法をあらためた。私設図書室「ふるさと新聞ライブラリー」(文化通信社内)に届いている70紙の地域紙の記事を、大学教授らによる有識者専門委員6人が手分けしてすべて読み、第一次審査通過作品を選定。それを地域に縁のある審査員5人が審査し、最も評価が高かった記事を最優秀賞にするなど各賞を決定している。特別賞は有識者専門委員の評価が最も高かった記事に贈る。
地域紙の価値と魅力を発信
地域紙を取り巻く環境は厳しさを増しているが、地域で起きた出来事を記録し、人々の営みを伝え、課題を問い続けるという役割は変わらない。地域紙は、地域社会にとってかけがえのない情報基盤であり、その存在は今後ますます重要になる。「ふるさと新聞アワード」が今後も、地域紙の価値と魅力を社会に伝える一助となるよう続けていきたい。【増田朋】

